京都市東山区の東福寺の子院に霊雲院というお寺が建っています。
霊雲院には、九山八海の庭と臥雲の庭と呼ばれる枯山水庭園があり、拝観することができます。
ということで、5月上旬に霊雲院の2つの庭園を拝観してきましたので、今回の記事ではその内容をお伝えします。
九山八海の庭
霊雲院は、明徳元年(1390年)に岐陽方秀(ぎようほうしゅう)によって創建され、当初は不二庵と呼ばれていました。
山門をくぐり参道を進むと、6体の小さなお地蔵さんが出迎えてくれます。
拝観受付は、玄関にあります。
玄関で靴を脱ぎ、拝観料300円を納めて建物内へ、
中に入ってすぐの場所には、琵琶やヘルメットなどが展示されています。
霊雲院は、日露戦争の折、ロシア兵の捕虜収容所として使用されました。
これらの展示物は、その時のロシア兵たちのゆかりの品々です。
また、霊雲院は、幕末に西郷隆盛と僧の月照が密議を行った場所とも伝えられています。
ちなみに清閑寺にも、西郷隆盛と月照が密議を行った史跡が残っています。
さて、2つの枯山水庭園ですが、本堂の南に九山八海の庭が配されています。
庭の中央に置かれている石は、遺愛石といいます。
拝観案内によると、遺愛石は、細川家から贈られたものだそうです。
7世住職の湘雪和尚に帰依した細川光尚は、寺産500石を贈ろうとしました。
しかし、和尚は、参禅の邪鬼となるので、それを断り、代わりに庭上に貴石をいただければ寺宝とすると申しました。
この時、細川家が須弥台と石船とを造って贈ったのが、遺愛石だったそうです。
遺愛石を中心に白砂の波紋が広がっている様子は、池に石を投げ入れたかのようですね。
臥雲の庭と観月亭
もうひとつの庭園の臥雲の庭は、建物の西にあります。
先ほどの九山八海の庭とつながっており、2つの庭を合わせるとL字型になっています。
ゆうゆうと空をゆく雲と、何にこだわるでもなく、何にわだかまるでもなく流れる水を表現しているそうです。
白砂だけでなく、鞍馬砂も使われているのが珍しいですね。
臥雲の庭の奥には、茶室への入口があります。
その前には、カエルが座っています。
これは、ここから中に入ることを禁止しているという意味なのでしょうか。
基本的に霊雲院は、建物内から庭園を鑑賞するようになっているので、庭園を散策することはできません。
なので、茶室にも行くことはできません。
茶室は観月亭と呼ばれています。
この茶室は、豊臣秀吉の北野大茶会当時のものを移築したものだとか。
茶室の前には、小さな苔の庭があります。
苔がこんもりとしているのが印象的でした。
最後に室内からもう一度、九山八海の庭を眺めることに。
縁側から見る庭園も良いですが、こうやって少し離れた場所から見ると、庭園全体が見渡せて、また違った趣がありますね。
拝観を終えて、参道に出ると、ツツジの花が咲いていました。