毎年8月16日は、京都で五山送り火が行われます。
午後8時になると、京都盆地を囲む5つの山に「大」、「妙・法」、「船形」、「左大文字」、「鳥居形」の火文字が現れます。
現在では、五山送り火は、夏の風物詩となっていますが、本来は、盂蘭盆会(うらぼんえ)の精霊送り(しょうりょうおくり)の行事です。
五山送り火で、最も有名なのが大文字山の「大」の火文字ですね。
実際に見たことがなくても、写真などでご覧になったことがあるという方は多いでしょう。
この大文字の送り火を主催しているのが、京都市左京区に建つ浄土院です。
見た目は小さなお寺
浄土院は、銀閣寺の入り口近くに建っています。
銀閣寺と比較すると小さなお寺で、こう言っては何ですが、とても大文字の送り火を主催しているようには思えません。
お寺の説明書によると、もともとこの場所には、浄土寺というお寺が建っていたのですが、文明14年(1482年)に室町幕府8代将軍の足利義政が、後に銀閣寺となる東山殿造営に際し、上京区の相国寺の西に移しました。
浄土寺の跡地には、草堂だけが残りましたが、文明年間(1469-1487年)に泰誉浄久(たいよじょうきゅう)が復興し、天台宗から浄土宗に改宗、名を浄土院と改めました。
それから250年ほど経った享保17年(1732年)に随誉(ずいよ)が堂宇を再建し、今日に至っています。
ちなみに浄土院は、大文字の送り火を主催していることから大文字寺とも呼ばれています。
なぜ大文字の送り火は大文字山なのか
ところで、大文字の送り火は、なぜ、大文字山で行われるのでしょうか。
小学館の「春夏秋冬 京都四季めぐり」という書籍によると、それは、京都御所から真正面に「大」の火文字を眺めることができるようにしたからと紹介されていました。
また、送り火は、松明の火を空に投げて御霊(みたま)を見送る習俗が、山に点火するようになったのではないかとも述べられていますが、正確な起源については不明のようです。
8月16日の五山送り火は、京都市の様々な場所で見ることができます。
この日に京都に訪れる予定がある方は、午後8時まで待って、送り火を見てはいかがでしょうか。
また、大文字の送り火を見に行くなら、京都御所付近の見晴らしの良い場所を選ぶと良いですね。
その際は、日中に浄土院にも訪れてみてはいかがでしょうか。
なお、浄土院の詳細については以下のページを参考にしてみてください。