京都市東山区の高台寺は、豊臣秀吉の正室の北政所(きたのまんどころ)が隠棲した寺院で、今は旅行者や観光客に大変人気があります。
その高台寺には、趣が異なる2つの庭園があります。
1つは方丈前庭、そして、もう1つは蓬莱式庭園です。
今回の記事では、高台寺の2つの庭園を紹介します。
方丈前庭
高台寺の最寄り駅は、京阪電車の祇園四条駅です。
駅からは南東に徒歩約15分ほどで高台寺に到着します。
拝観受付で拝観料を納め、順路に従って進み書院で靴を脱いで中に入ります。
ちなみに圓徳院との共通拝観券がお得ですよ。
書院から方丈に向かうと南向きに方丈前庭が配されています。
波心庭とも呼ばれる方丈前庭は、1本の枝垂れ桜が植えられており、春に美しい姿を見せてくれます。
方丈前庭は、白砂が敷き詰められた簡素な庭園なのですが、その時その時で、違った景色を見せてくれます。
白砂に作られた波紋に色がついていたり、立砂が作られていたりすることもあれば、市松模様になっていることもあります。
秋は、勅使門の近くの紅葉もきれいですね。
高台寺では、ライトアップもよく行われており、こちらも開催時期により趣向が変わります。
日中に見る方丈庭園と違って、ライトアップされたときは、とても派手になりますよ。
蓬莱式庭園
今では、方丈庭園が観光客や旅行者に人気ですが、高台寺の庭園と言えば、小堀遠州の作と伝わる蓬莱式庭園が、史跡・名勝となっているので、しっかりと見ておきたいですね。
蓬莱式庭園は、方丈の東側にあり、中央に開山堂が建っています。
開山堂は、かつては北政所の持仏堂でしたが、後に開山の三江紹益の塔所となっています。
蓬莱式庭園は、この開山堂の東に臥龍池(がりゅうち)、西に偃月池(えんげつち)という2つの池がある泮池庭園(はんちていえん)です。
西の偃月池には、北に亀島、南に鶴島があります。
そして、池の南側に書院と開山堂をつなぐ楼船閣があり、その中央に秀吉遺愛の観月台が設けられています。
北政所は、この観月台から亡き秀吉をしのび、月を眺めたと伝えられています。
東側の臥龍池は、偃月池よりも広く、池中に石などはありません。
臥龍池にも、開山堂から霊屋(おたまや)まで続く臥龍橋が架かっています。
斜面に建つ臥龍橋は、階段状になっており、まるで龍の背に似ていることから、その名が付きました。
蓬莱式庭園は起伏に富んでおり、ところどころに大きな石が置かれています。
桃山時代に作庭された庭園には、石を使った豪快なものが多いですが、高台寺の蓬莱式庭園にも、その特徴が見られます。
秋になると、臥龍池のほとりに植えられたカエデが紅葉し、緑が目立つ庭園に赤色やオレンジ色が見られるようになります。
蓬莱式庭園も、方丈前庭と同じようにライトアップがよく実施されます。
秋のライトアップでは、鏡のようになった臥龍池に紅葉が映り込みます。
その景色も美しいので、一度は見ておきたいですね。
高台寺には、方丈前庭と蓬莱式庭園の2つの庭園があり、それぞれに個性があります。
桜の時期は方丈前庭、紅葉の時期は蓬莱式庭園がきれいですから、春と秋に高台寺に拝観したいですね。
なお、高台寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。