5月下旬に京都府八幡市の松花堂を訪れました。
現在、松花堂では、庭園の内園が工事中で、外園のみの拝観となっています。
そのため、拝観料が100円と格安です。
外園の竹林と新緑を見た際、3つ建っている茶室も鑑賞したので、今回はその模様をお伝えします。
梅隠
松花堂庭園の外園の北側には、松隠、梅隠、竹隠という3つの茶室が建っています。
順路を進んでいき、最初に見る茶室は梅隠です。
梅隠は、千宗旦好みの四畳半茶室を再現したものです。
茅葺の屋根が落ち着きがあり、心が和む外観をしています。
茶室内部には、畳が敷かれ、火がともっています。
茶室内部も落ち着きのある造りとなっていますね。
梅隠の待合の近くには、水琴窟(すいきんくつ)がありますよ。
水琴窟は、蹲踞(つくばい)や縁先手水鉢(えんさきちょうずばち)の鉢前に仕掛けられた日本式庭園技法のひとつです。
排水装置として地中に作ってある洞水門に瓶(かめ)などを埋めて、水が流れ落ちる音を楽しむようになっています。
蹲踞の前にある竹に耳を当てると、カランコロンと高い音色が聞こえてきますよ。
松隠
梅隠の北西に建つ茶室は、松隠です。
松隠には、九畳の広間や四畳台目の小間があり、小間の方は閑雲軒と呼ばれています。
石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)の瀧本坊に住していた松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)は、小堀遠州と姻戚関係にありました。
小間の閑雲軒は、寛永8年(1631年)頃に小堀遠州が建てた茶室です。
昭和45年(1970年)に当時の庭園所有者により松隠と閑雲軒が建設されましたが、その際、閑雲軒は、古絵図(茶室おこし絵図)により再現したそうです。
瀧本坊の閑雲軒は、男山の崖ぷちに建てられていたので、三方に縁(えん)が設けられ、その縁の躙り口(にじりぐち)から茶室に入るようになっていたようです。
現在の松花堂庭園に再現された閑雲軒も、少し高床にし、石段を登り、縁に設けられた躙り口から茶室に入るように再現されたのだとか。
また、閑雲軒は、床柱はムロの木に手斧(ちょうな)がけをほどこし、床框(とこがまち)は春慶塗り(しゅんけいぬり)、点前座の中柱はエンジュ皮付き、天井は菰造り(こもつくり)になっています。
茶室の石段近くには、青色の壺のようなものが置かれています。
コケに掘られた穴には石が敷かれ、その中心に円形の手水鉢が置かれています。
このような造りにも、和の風情を感じますね。
竹隠
松隠から南に少し歩くと、竹隠があります。
その名のとおり、竹隠の近くには、竹が多く、特に北側のキンメイモウソウチクが美しいですね。
茶室の壁の近くには、萩小松明垣(はぎこたいまつがき)と呼ばれる垣が置かれています。
松明を何本も束ねたような形をしていますね。
竹隠の内部です。
竹隠は、四畳半茶室となっており、北側のキンメイモウソウチクを眺められるように造られています。
四畳半茶室としては、他に見られない優雅な琵琶床(びわどこ)が特徴的で、突き上げ窓、躙り口、連子窓(れんじまど)の配置にも細かい心遣いがなされ、数寄屋大工が工夫と技術を凝らして造った茶室だそうです。
こちらは、矢止め垣です。
竹隠は、周囲に竹が多く植えられているため、まるで竹林の中にひっそりと佇む茶室といった雰囲気がありましたよ。
竹隠の南側には、内園があります。
内園には、草庵「松花堂」と泉坊書院が建っています。
平成26年(2014年)に「松花堂及び書院庭園」が国の名勝に指定されましたが、平成30年の地震で被害を受けたため、現在は工事中です。
松花堂や泉坊書院は拝観できませんでしたが、外園の茶室、竹林、サツキなど、庭園内の風景を十分に楽しむことができました。
これで拝観料がたったの100円ですから、大満足です。
工事中の松花堂庭園ですが、拝観して損はないですよ。
なお、松花堂の詳細については以下のページを参考にしてみてください。