1月中旬に訪れた京都市右京区の龍泉菴(りょうせんあん)。
1月10日から3月18日まで行われている京の冬の旅の非公開文化財特別公開で、通常は見ることができない龍泉菴の庭園を鑑賞しました。
また、龍泉菴では、方丈襖絵やその他の寺宝も見ることができました。
今回の記事では、方丈襖絵を中心に龍泉菴の特別公開の内容を紹介します。
開祖五百年遠忌に合わせて納められた障壁画
龍泉菴の最寄り駅は、JR花園駅です。
駅からは、北東に徒歩約5分で龍泉菴に到着します。
なお、龍泉菴の拝観料は600円です。
建物内に入って、最初に目にするのは長谷川等伯50歳代の作と伝わる枯木猿猴図です。
親子の猿が枝にぶら下がっている絵は、加賀藩主前田利長所蔵の屏風だったそうです。
大玄関には、龍泉菴の寺名にちなんで描かれた昇龍図の襖絵がはめられています。
昇龍図は写真撮影禁止です。
ちなみに龍泉菴の特別公開の案内に昇龍図の写真が掲載されていたので紹介しておきます。
襖に描かれた大きな龍の頭は、実際に見ると迫力がありますよ。
方丈の西の間にやってきました。
こちらは霊峰四季之間と呼ばれています。
龍泉菴の方丈襖絵は、平成11年(1999年)に開祖五百年遠忌に合わせて日本画家の由里本出(ゆりもといずる)氏が描いたものです。
その数は100面に及びます。
霊峰四季之間の正面の襖には、噴煙を上げる秋の阿蘇山が描かれています。
右側の襖には冬の磐梯山。
雪が積もった磐梯山と青空が、爽やかですね。
見ているだけでスキーに行きたくなりますよ。
方丈中央の室中の間は、種々東漸之間と呼ばれています。
右側の襖には虹がかかっていました。
東の間は、水到渠成之間と呼ばれています。
水到渠成とは、水は溜まれば流れ、流れた跡が溝になるという意味です。
物事が自然に成就するということだそうです。
正面の襖には、夏の層雲峡が描かれています。
層雲峡は、石狩川の上流の溪谷で奇岩や断崖が連なる景勝地です。
左側の襖には、春の釧路湿原が描かれています。
襖の上の方の太陽が暖かい春を感じさせてくれます。
右側の襖に描かれているのは、秋の根室半島野付です。
地平線を覆い尽くす雲と池に遊ぶハクチョウが描かれていますよ。
方丈の北側の部屋にも襖絵があります。
こちらは、樹下寂静之間です。
正面に描かれている木は、沙羅双樹です。
お釈迦さまが亡くなられた時、沙羅の木に季節外れの花が咲いたそうです。
日本では、インドの沙羅双樹はなく、夏椿を沙羅と呼んでいますね。
こちらは、黎明開悟之間で東山区の建仁寺開山堂のボダイジュが描かれています。
大地にしっかりと根を張ったボダイジュに力強さを感じます。
その後ろから、朝日が昇っています。
お釈迦さまは、肉体を苦しめ死と直面する修行を行っていましたが、目的を達成できずに中止します。
そして、出家して6年体力を回復させ、ひとりボダイジュの下で座禅を組み瞑想に悟りを開いたそうです。
方丈の北側のお堂には、狩野探幽の「観音・龍虎図」や谷文晁の「秋山出屋図」も展示されていました。
これらの寺宝については写真撮影禁止なので、実際に龍泉菴に訪れて鑑賞してください。
ちなみに京の冬の旅の期間中の2月28日と3月1日は、拝観中止です。
なお、龍泉菴の詳細については以下のページを参考にしてみてください。