京都らしさを感じる景色とは、どのようなものでしょうか。
すぐに思いつくのは、神社やお寺が建っている景色でしょうね。
他には、町並みに京都らしさを感じることができますよね。
祇園や先斗町(ぽんとちょう)を歩いていると、今、自分は京都にいるんだなと実感することがあります。
また、ビジネス街を歩いていても、突然、京都らしい景色に出会うことがあります。
その代表が、町家です。
地下鉄四条駅から西に5分ほど歩いた辺りに建つ杉本家住宅も町家なのですが、この町家は、京都市内最大規模だということです。
呉服商の奈良屋の店
杉本家住宅は、江戸時代に呉服商の奈良屋のお店でした。
奈良屋の創業は、寛保3年(1743年)で、初代新右衛門が、烏丸四条下ルにお店を構えました。
現在地に移ってきたのは、明和5年(1767年)のことです。
新右衛門は、呉服商奈良屋勘兵衛方で奉公をした後、別家独立を許され、寛保3年8月5日に奈良屋を創業しています。
彼は、奉公していた時、武蔵国騎細の店舗を任されていたということなので、商才があったのでしょうね。
新右衛門は、独立してからも、京呉服を仕入れて関東地方で販売する「他国店持京商人」として栄えていきます。
そして、2代新右衛門が下総(しもうさ)の佐倉に江戸店として初めて出店し、3代新左衛門秀明の時には、関東での販路を安定させ、その後の繁栄の基盤をつくりました。
現在の建物は、元治元年(1864年)の蛤御門(はまぐりごもん)の変の後に再建されたものですが、その規模は、京都市内最大ということもあって、写真に収まりきらないほどの大きさです。
これだけ大きな町家で、しかも保存状態が非常に良いということから、平成2年(1990年)に京都市の有形文化財に指定され、その後、平成22年には国の重要文化財に指定されました。
建物の中がどうなっているのか気になるのですが、普段は一般公開されていません。
説明書によれば、母屋は表通りに面する店舗部と裏の居室部を玄関でつなぐ表屋通り形式になっているとか。
また、出格子、犬矢来、土塗のむしこ窓など、全てが昔ながらの典型的な平格子のたたずまいだということです。
他に建物内には庭もあり、平成23年に京町家の庭として初めて国の名勝指定を受けています。
先ほど普段は一般公開されていないと述べましたが、7月14日から16日に一般公開されます。
この期間は、祇園祭で賑わい、杉本家住宅では伯牙山(はくがやま)という舁山(かきやま)が出ます。
建物の外観も祇園祭仕様になるので、宵山に出かけた時は、杉本家住宅にも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
なお、一般公開など、杉本家住宅の詳細は公式ホームページをご覧になってください。