京都市伏見区の稲荷山のふもとに鎮座する伏見稲荷大社は、国内外から大勢の参拝者が訪れます。
正月は参道から本殿まで長蛇の列ができ、お参りするまでに長い時間を要します。
正月以外だと、人は多くても、それほど待たずにお参りできますね。
さて、伏見稲荷大社に訪れる目的は、千本鳥居をくぐるためという人が多く、本殿にはあまり興味を持たれていない印象を受けます。
本殿を見ていないという人も意外と多そうですね。
本殿の前に建つ内拝殿
JRの稲荷駅を出たすぐの場所に伏見稲荷大社の第一鳥居が立っています。
鳥居をくぐり、稲荷山に向かって参道を歩いていくと豊臣秀吉が建立した朱色の楼門が見えてき、その後ろに外拝殿(げはいでん)が建っています。
外拝殿のさらに後ろの石段上に内拝殿があります。
横から見た内拝殿。
この場所で立ち止まり、お賽銭を入れて二拝二拍手一拝をして、お参りをします。
屋根の下の蟇股(かえるまた)には、白狐の彫り物があるので、こちらも見ておきたいですね。
本殿は内拝殿の後ろに建つ
内拝殿でお参りを済ませた後、皆さんお待ちかねの千本鳥居に向かっていきます。
おそらく、内拝殿を見て本殿を見たと思われているのでしょう。
でも、本殿は、内拝殿の後ろに建っており、祈祷を受ける人以外は、ほとんどの参拝者が素通りしています。
こちらが、伏見稲荷大社の本殿です。
内拝殿からも見えますが、正面からの写真撮影は禁止されているので横から撮影しています。
伏見稲荷大社の本殿は、応仁の乱の兵火に遭い、応仁2年(1468年)に焼失しています。
この時、稲荷山では、足軽の骨川道賢が活躍していますね。
本殿が再建されたのは、明応8年(1499年)で、その後、何度も修復を重ね、現在の姿となっています。
楼門を建立した豊臣秀吉も修復を行っていますよ。
伏見稲荷大社の本殿は、五間社流造(ごけんしゃながれづくり)で、当社の社記には「御本殿五社相殿ウチコシナガシ作四方ニ高欄有ケタ行五間五尺ハリ行五間五尺」と記されているとのこと。
流造は、建物の屋根の部分である庇(ひさし)が前に長く伸びた造りのことで、神社の社殿でよく見かけます。
でも、多くの神社の社殿は、柱間が一間である一間社流造であり、伏見稲荷大社の本殿のような五間社流造の大きさを持つ社殿は滅多に見かけません。
伏見稲荷大社の本殿の構造は、稲荷造と称され、装飾などに安土桃山時代の力強さと美しさの特徴が見られます。
後ろから本殿を見ると、玉垣や柱の朱色、檜皮葺の屋根に雅な風情を感じられます。
伏見稲荷大社の本殿は、正面からじっくり見る機会は滅多にありませんが、横や後ろからなら時間をかけて見られます。
千本鳥居をくぐりに行く前に少し時間をかけて本殿を拝み、その大きさと美しさを味わってはいかがでしょうか。
なお、伏見稲荷大社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。