現代は、経済が発達し、様々な物やサービスを利用できるようになりました。
世の中に多くの商売が生まれるほど、我々の生活は便利になっていきます。
一方で、経済が発達すると、多くのお金を儲けようとあくどい商売をする人も増えてきます。
あくどい商売をする人がいるのは、現代に限った話ではなく、江戸時代以前にも同じような問題はありました。
江戸時代に商売についての道徳を説いたのが石田梅岩。
資本主義が発達していなかった江戸時代に彼は、その重要性を説いていたというのですから驚きです。
錦市場の近くに残る石田梅巌邸址の石碑
石田梅岩は、貞享2年(1685年)に丹波国(京都府亀岡市)に産まれました。
8歳で京都の商家黒柳家に丁稚奉公に出て、大人になってから石門心学(せきもんしんがく)と呼ばれる哲学を生み出します。
彼の教えは、精神を鍛えて利己主義に走らないようにするというもの。
お金を儲けられるなら、他人の不利益は無視するといった商売は良くないと江戸時代に説いていたんですね。
その石田梅岩の邸宅は、現在の京都市中京区にありました。
外国人旅行者で賑わう錦市場から堺町通を北に歩き、蛸薬師通を横切り少し進んだ右手にHOTEL RINGS KYOTOというホテルが建っています。
そのHOTEL RINGS KYOTOの入り口の北側に「石田梅巌邸址」と刻まれた石碑が、ひっそりと立っています。
この石碑から東に数分歩けば、寺町通や新京極通といった繁華街もあります。
石碑の周辺は、外国人旅行者が多く訪れ、商売をするには申し分のない場所です。
そんな場所に石田梅岩の邸宅跡を示す石碑があるというのは、あくどい商売をするなという戒めのように感じられますね。
もちろん多くのお店は、まっとうな商売をしているに違いありません。
でも、近年、海外から多くの旅行者が訪れるようになった日本国内では、一部で、ぼったくりのような商売をしているお店も見られるようになりました。
今こそ、石田梅岩の精神を見習う時かもしれませんね。
石田梅岩については、日経ビジネスの以下の記事でわかりやすく解説されていますので、ぜひご覧になってください。
京都を歩いていると、思わぬところで史跡に巡り合います。
これも京都観光の魅力の一つですね。