先日、四条堀川を歩いていると、交差点の南東角に雨庭(あめにわ)があるのに気づきました。
近年、京都市内では、左京区の妙伝寺近くや下京区のお東さん広場などで雨庭が造られています。
街角で、雨庭を偶然見つけると、こんなところにも京都らしさが演出されているんだなと感心しますね。
貴船石が置かれた雨庭
阪急電車の大宮駅、または、京福電車の四条大宮駅から西に約5分歩くと、四条堀川の交差点に到着します。
この辺りは、近代的な建物が建ち並び、交通量も非常に多いので、都会でよく見る景色と変わりません。
だから、あまり、周囲を眺めながら歩くことはないのですが、雨庭を発見した時は、つい立ち止まってしまいました。
雨庭は、地上に降った雨水を下水道に直接放流することなく一時的に貯留し、ゆっくり地中に浸透させる構造を持った緑地です。
街角に雨庭があることで、緑化が進みますが、それ以外にも、雨水流出抑制、水質浄化、ヒートアイランド現象の緩和などの効果が期待されています。
京都の寺社でよく見る庭園も、雨庭機能を取り入れており、古くから親しまれています。
雨庭の中に大きな貴船石が置かれていました。
貴船石は、加茂七石の一つに数えられる京都を代表する名石です。
ちなみに加茂七石は、貴船石、八瀬真黒石、紅加茂石、畑石(はたいし/雲ヶ畑石)、畚下石(はたおろしいし)、鞍馬石、賎機糸掛け石(しずはたいとかけいし)の7つです。
雨庭の説明書によると、貴船石は、鴨川の上流部にあたる貴船地方で産出された川石で、かつて、貴船地方が海の底であった時代に海底火山の活動によって流れ出した溶岩が冷え固まってできたとのこと。
紫色や緑色の他に青やグレーなど多様な色があるそうです。
貴船石は、庭石として用いられてきましたが、今日では産出されていないのだとか。
また、四条堀川の雨庭では、京都近辺の山から産出した山石を多く使用しているそうです。
雨庭の中にたくさんの石が組まれていますが、これらは山石でしょうか。
山石は、京都の庭園で古くから用いられており、金閣寺や龍安寺の庭園で使われている景石の多くも山石だそうです。
自動車が途切れることなく走っている四条堀川に雨庭があるだけで、自然を感じられますね。
雨がよく降る季節には、雨庭が活躍してくれそうです。
ちなみに四条堀川の交差点の北西角にも、雨庭はありますよ。
四条堀川を訪れる機会がありましたら、ぜひ、雨庭も見ていってください。