京都市右京区の花園に法金剛院というお寺があります。
法金剛院は、花の寺として知られ、四季折々の景色を楽しめます。
境内には、池泉回遊式浄土庭園があり、その北側には、日本最古の人造の滝である青女(せいじょ)の滝があります。
平安時代の遺構がそのまま残る青女の滝
法金剛院は、JRの花園駅を出てすぐの場所にあります。
北に五位山、中央に池がある法金剛院の庭園は、極楽浄土を模して造営されたものです。
創建は、天長の頃(830年)で、清原夏野(きよはらのなつの)が山荘を建て、死後に双丘寺(ならびがおかでら)としました。
その後、天安2年(858年)に文徳天皇が伽藍を建て、定額寺(じょうがくじ)に列し、天安寺としています。
平安時代末期の大治5年(1130年)に鳥羽天皇の中宮の待賢門院(たいけんもんいん)が天安寺を復興し、法金剛院としました。
上の写真に写っている枝垂れ桜は待賢門院桜と呼ばれ、紫色の花を咲かせます。
さて、日本最古の人造の滝である青女の滝ですが、庭園の北側、五位山のふもとにあります。
法金剛院の庭園は、待賢門院が極楽浄土として造営させたもので、青女の滝の作者は、石立の僧林賢(りんけん)と静意(じょうい)です。
巨岩を並べた雄大な青女の滝は、発願者と作者がはっきりしており、しかも、滝の岩組の遺構がそのまま残っている大変貴重なものです。
この青女の滝は、昭和43年(1968年)に発掘されたもので、庭園は特別名勝に指定されています。
法金剛院では、7月に観蓮会が行われ、朝の早い時間から庭園の拝観が可能で、きれいに咲いたハスの花を愛でることができます。
法金剛院の庭園は、7月のハスの花が咲く頃に拝観するのがおすすめです。
平安時代末期の歌人の西行は、法金剛院の庭園を造営した待賢門院に恋をしていたとされ、以下の歌を詠んでいます。
なんとなく 芹と聞くこそ あはれなれ 摘みけん人の 心知られて
西行は、佐藤義清(さとうのりきよ)という北面の武士でしたが、高貴な身分であった待賢門院との恋が破れ出家したと伝えられています。
待賢門院の死後には、以下の歌も詠んでいます。
紅葉みて 君が袂(たもと)や しぐるらむ 昔の秋の色をしたひて
秋になると、法金剛院の庭園では紅葉を見ることもできます。
カエデの葉が色づく頃、法金剛院に参拝し、上の西行の歌を思い起こせば、しみじみとした情緒を感じられることでしょう。
法金剛院の庭園は、季節ごとにきれいな景色を見せてくれるので、つい青女の滝をじっくりと鑑賞するのを忘れてしまいます。
庭園拝観時には、青女の滝の雄大な岩組と清らかな水の流れもしっかりと見ておきたいですね。
なお、法金剛院の詳細については以下のページを参考にしてみてください。