京都市下京区の西本願寺には、御影堂(ごえいどう)と阿弥陀堂という大きな建物が並んで建っています。
西本願寺の境内では、この2つの建物が最も目立ちます。
また、国宝になっている唐門も、装飾が美しいことから人気のある建物です。
その唐門近くにあまり注目されることがない旧仏飯所(きゅうぶっぱんしょ)という建物が建っています。
仏飯を炊事していた建物
西本願寺には、京都駅から北西に約10分歩くと到着します。
堀川通に面する御影堂門から境内に入ります。
そして、御影堂の南側の細い通路を南西に歩いていくと、飛雲閣の西側に旧仏飯所が建っています。
あまり厚みがない建物で、台風が来たら倒れてしまいそうに見えますが、西本願寺の説明書によると、貞享2年(1685年)11月21日に創建され、宝暦年間(1751-1765年)に再修されたということですから、200年以上の間、台風にも地震にも耐えてきたことがわかります。
旧仏飯所は、御影堂と阿弥陀堂に供する仏飯を炊事していた建物です。
桁行四間、梁間(はりま)三間、屋根は照り起り(てりむくり)の寄棟造り本瓦葺きで、内部は東半が台所、西半が板間となっています。
4つの屋根面を持ち、屋根の上に水平に大棟があり、その両側に隅棟(すみむね)が集まった屋根を寄棟造りといいます。
壁には、花頭窓も見られます。
当初は、渡り廊下がなく独立した建物で、北西西寄りに出入口を設けていました。
後に文化8年(1811年)に改修を行い、新たに西方の建物へと繋がる渡り廊下を設けたとのこと。
しかし、明治以降の改修により渡り廊下が一部を残して撤去され、現在の姿となっています。
昭和36年(1961年)の宗祖七〇〇回大遠忌事業に伴い現在の膳所が建てられると、仏飯所としての機能が移され、ここでの炊事等は行われなくなったそうです。
台所には、かまどや流し等を復元し、明治以降に造られた黒煉瓦積み(くろれんがずみ)かまど、乾燥棚は、渡り廊下の1階に移設し保存しているようです。
旧仏飯所は、ただの塀のように見えるので、見逃してしまいそうになりますが、歴史のある建物なので、西本願寺に参拝した時には、忘れずに見ておきたいですね。
大玄関
旧仏飯所から西に少し歩くと、大玄関があります。
一般の参拝者は、この大玄関に入ることはできません。
西本願寺の説明書によると、本瓦葺き入母屋造りの妻入りに唐破風(からはふ)を設けた南面する施設で、公式の行事などに際して、来客を迎えたりする折等に使用されるとのこと。
宝暦10年(1760年)の親鸞聖人五百回忌の時には、その姿を見ることができるため、これよりあまり遡らない時期に造られたものと考えられています。
大玄関の南には、立派な大玄関門があり、こちらは弘化4年(1847年)に新築されたものです。
大玄関門も、普段は一般の参拝者が通ることはできません。
西本願寺の境内の南側の通路は細いため、そちらに行けないように思われがちですが、旧仏飯所や大玄関を見ることができるので、ぜひ南側の建物も見に行ってください。
なお、西本願寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。