11月下旬に京都市左京区の霊鑑寺(れいかんじ)に参拝しました。
霊鑑寺は通常非公開のお寺なのですが、11月17日から12月2日まで、秋の特別公開が実施されています。
庭園の紅葉が見ごろを迎える時期の特別公開では、霊鑑寺に伝わる寺宝も鑑賞できます。
客殿南庭と本堂周囲の紅葉
霊鑑寺の最寄り駅は、地下鉄蹴上駅です。
駅からは北に徒歩約20分。
市バスだと「真如堂前」から東に徒歩約5分なので、こちらの方が便利ですね。
緩やかな坂道を東に進み、哲学の道を越えて、さらに東に行くと霊鑑寺門跡(れいかんじもんぜき)と刻まれた石柱が現れます。
霊鑑寺は、承応3年(1654年)に後水尾天皇が「円成山(えんじょうざん)霊鑑寺」の山号と寺号を勅許し、同時に皇女浄法身院宮宗澄(じょうほっしんにんのみやそうちょう)を得度入寺させたことに始まります。
明治維新まで5人の皇女・皇孫が入寺した尼門跡寺院で、比丘尼御所(びくにごしょ)や谷の御所とも呼ばれていました。
石段を上り山門をくぐると左手に拝観受付があります。
拝観料は600円。
受付を済ませ、玄関に飾られていた活花を鑑賞し、さらに小さな門をくぐります。
細い参道の左側には客殿が建ち、右側には客殿南庭が配されています。
客殿南庭は苔が敷かれ、滝石組や般若寺型燈籠が置かれています。
南庭の上方には、真っ赤に紅葉したカエデ。
斜面には水の流れのようにモミジが散っていました。
霊鑑寺の庭園は上下二段となっており、主庭の客殿南庭だけでなく、東側にも庭園が広がります。
そして、境内の高い場所に本堂が建っています。
それでは、本堂にお参りをしましょう。
本尊として祀られているのは、恵心僧都作と伝わる如意輪観音像で、霊鑑寺より東の山中にあった如意寺に祀られていたそうです。
如意寺は、承和年間(834-848年)に智証大師円珍によって創建されたお寺と伝えられていますが、南北朝の戦乱で焼失しました。
しかし、後水尾天皇が霊夢により、如意寺の如意輪観音像を本尊として祀るために霊鑑寺を創建したと伝えられています。
本堂の前では、コケの上にサザンカとモミジが散っていましたよ。
山の中腹から見下ろす本堂と紅葉。
真っ赤に色づき、紅葉が見ごろを迎えています。
庭園東側の紅葉
庭園の東側では、早いもので椿が咲いていました。
こちらは、紅八重侘助(べにやえわびすけ)です。
侘助は、一重で先がとんがったように花を咲かせますが、紅八重侘助はたくさんの花弁がしっかりと開いていますね。
霊鑑寺は椿の名所でもあり、以前に京の冬の旅の特別公開で、様々な種類の椿を見たことがあります。
サザンカも白色の花をたくさん咲かせており、赤色のモミジとの対比が美しかったです。
庭園の北東角にやって来ると緋毛氈が敷かれた床几台が設置されていました。
床几台の奥には、霊鑑寺楓が植えられています。
霊鑑寺楓はタカオカエデで、京都の名木のひとつに数えられています。
まだ、下の方に青葉が残っており、霊鑑寺楓の紅葉は見ごろ前でした。
それでも、上の方はきれいな赤色に染まっていましたよ。
床几台で少し休憩した後、石段を下ります。
途中で見上げる紅葉も美しかったです。
地面のコケもみずみずしいです。
石段を下り切り、少し進んだところにも休憩所があります。
この休憩所からお堂の屋根を見上げると、太陽に照らされたモミジが、赤色、オレンジ色、緑色に輝いていました。
苔むした蹲踞(つくばい)に散るモミジにも情緒を感じます。
庭園を1周したところで、書院(客殿)の中に入ります。
書院では、カルタや御所人形など、霊鑑寺に伝わる寺宝が展示されています。
徳川家茂に嫁いだ皇女和宮の遺愛の品もありましたよ。
また、書院は、後西天皇の院御所旧殿のうち御休息所を賜ったもので、内装は天皇の旧殿だけあって襖が金色でした。
尼門跡寺院らしい格式の高さがうかがえます。
霊鑑寺の紅葉を見、寺宝も鑑賞し終えたので、外に出ることに。
南側の塀際のイチョウも、青空を背景に美しく黄葉していましたよ。
この後は、近くの和中庵の秋の特別公開を見に行きます。
なお、霊鑑寺の詳細は以下のページを参考にしてみてください。