11月中旬に京都市右京区の高山寺の石水院を拝観した後、特別公開されていた茶室の遺香庵を拝観しました。
遺香庵は、普段は非公開のため、次はいつ公開されるかわかりません。
せっかくの機会ですから、滅多に見ることができない遺香庵も見ておきましょう。
腰掛待合から見る紅葉
遺香庵は、石水院の北側にあります。
石水院とは受付が別となっており、拝観料は500円です。
遺香庵の入り口にやって来ました。
小さく質素な門が、まさに茶室の入り口といった雰囲気を漂わせています。
細い道をまっすぐ進むと、一段高い場所に茶徳亭と呼ばれる腰掛待合が建っています。
中に入って座らせていただきましょう。
腰掛は、卍型に配置されており、これは桂離宮の卍亭にならったものだそうです。
屋根は宝形造りとなっており、中央に梵鐘「茶恩鐘」が吊り下げられています。
茶徳亭の窓からは、山々の紅葉を望むことができます。
深まる秋を感じられる景色であります。
遺香庵と露地庭
遺香庵は、茶徳亭の下に建っています。
遺香庵周囲の紅葉も見ごろです。
遺香庵は、明恵(みょうえ)上人七百年遠忌にあたる昭和6年(1931年)に大久保利武が企画し、高橋箒庵が総代となって寄進した茶室です。
明恵上人は、茶祖として知られており、その恩に報いるために寄進したのだとか。
設計は高橋箒庵で、建築は3代目木村清兵衛が担当しています。
遺香庵の屋根の下にかかる扁額は益田孝筆。
屋根の上のカエデがオレンジ色に色付き、秋空とよく調和していました。
拝観案内によると、茶室内部は、四畳台目下座味とのこと。
全体的に古田織部や小堀遠州好みに構成された造りとなっています。
点前座を落天井とし、釣棚も下棚を下げるなど、千家風の扱いも見せています。
茶室の北側には広間もあります。
当初は、茶室と水屋だけの計画だったのですが、住職と檀信徒の希望で広間も増築されたそうです。
露地庭は、7代目小川治兵衛の作庭です。
コケが敷かれた小さな庭は、茶室とよく似合います。
飛石や景石は、高山寺が建つ栂尾(とがのお)周辺で調達したのだとか。
苔むした蹲踞(つくばい)や石燈籠も趣がありますね。
茶室の北側には、法鼓台道場があり、その近くの紅葉も見ごろを迎えていました。
まだ、青葉も目につきますが、様々な色のモミジがきれいでしたよ。
遺香庵の拝観を終えたので、高山寺の境内から出ることにしましょう。
裏参道のカエデも、紅葉が進んでいます。
木々の中に建つ小さな建物に秋のもの悲しさを感じましたよ。
なお、高山寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。