9月下旬。
京都市伏見区の藤森神社に参拝した後、近くの墨染寺(ぼくせんじ)にも立ち寄りました。
墨染寺を訪れるのは、数年ぶりです。
お寺の前を通りかかることはよくあるので、そんなに久しぶりの気がしないのですが、最後にお参りをしたのは随分前であります。
静かな境内
墨染寺の最寄り駅は、京阪電車の墨染駅です。
駅を出て、西に3分ほど歩けば、建物に挟まれた墨染寺の山門があります。
ちょっと奥まったところに山門が建っているので、初めて参拝される方は、意識して歩かないとお寺を素通りしてしまうかもしれません。
山門をくぐると正面に本堂が建っています。
本堂の前には、日蓮宗のお寺らしく日蓮聖人の像が立っています。
日蓮聖人の足元には、小さなタヌキもいますよ。
お椀を持って立っているので、この中にお賽銭を入れろということなのでしょうね。
つぶらな瞳で見つめられると断りきれなかったので、小銭をお椀に入れておきました。
それでは本堂にお参りをしましょう。
墨染寺は、豊臣秀吉と姉の瑞龍尼が日秀に帰依し、藤原良房が建てた貞観寺の跡地に創建したのが始まりです。
当初は、現在地よりも東にあったそうです。
平安時代、藤原良房の養子の藤原基経が亡くなった際、歌人の上野峯雄(かんつけのみねお)がその死を悼んで以下の歌を詠みました。
「深草の 野辺の桜し 心あらば 今年ばかりは 墨染めに咲け」
すると、付近の桜が薄墨色の花を咲かせたことから、この地は墨染(すみぞめ)と呼ばれるようになり、豊臣秀吉が寺名を墨染桜寺(ぼくぜんおうじ)と改めたそうです。
現在でも、墨染寺の境内には薄墨色の花を咲かせたという伝説を持つ墨染桜(すみぞめさくら)が植えられています。
9月なので、墨染桜の枝は緑色の葉で覆い尽くされています。
春になるとたくさんの花を咲かせますが、その中に薄墨色の花が混ざっているのを見たことはないですね。
緑色の花を咲かせる御衣黄(ぎょいこう)という桜があるのですから、墨染桜も何かの拍子に薄墨色の花を咲かせることがあるかもしれません。
墨染井と刻まれた手水鉢がありました。
伏見は、いたるところで名水が湧きます。
墨染寺の近くからもきれいな水が湧き出すのでしょうか。
意味ありげに置かれた鬼瓦。
近くには、狛犬のような謎の動物もいます。
山門の近くには、干支の置物がいくつか置かれていましたが、まだ十二支は揃っていないようでした。
9月下旬の墨染寺は参拝者が全くおらず、とても静かでした。
春の桜の時期でも、訪れる人はそれほど多くないですからね。
おかげで、心静かにお参りできましたよ。
なお、墨染寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。