京阪電車の清水五条駅から五条通(国道1号線)を東に歩いて行くと、左に五条坂が見えます。
この五条坂を上っていくと清水寺があるため、五条通を東に歩く多くの人はここで五条坂へと向きを変えます。
しかし、私はそのまま五条通を直進。
歩道を歩いているのは、私だけで、隣をたくさんの車が過ぎていきます。
そして、清水五条駅から20分ほど歩いたところで、左手に見える石段を上ります。
ここまで来た理由は、歌の中山清閑寺に参拝するためです。
高倉天皇の御陵と清閑寺の入口
清閑寺の入口は山の上にあります。
上の写真に写っている駐車場の上にある丘の上が清閑寺の境内です。
境内に行くには、石段を上る必要がありますが、難所というほどではありません。
ただ、体力に自信のない方は、ゆっくりと休みながら上った方が良いでしょう。
その石段の入口には、「平家物語ゆかりの寺」と書かれた板があります。
石段の上には、平家物語に登場する高倉天皇と六条天皇の御陵があり、初夏のこの時期は、新緑で覆われています。
石段を上ること約2分。
清閑寺の入口に到着です。
拝観料は志納制となっており、門の脇に設置されている箱に100円以上納めて境内に入ります。
新緑と苔に包まれた涼しい境内
門をくぐると、そこはカエデの新緑と苔に包まれていました。
清閑寺が建つ辺りが歌の中山と呼ばれているのは、昔から桜や紅葉がとても美しく、数多くの歌が詠まれたことに由来します。
きっと、初夏の新緑や苔を詠んだ歌なんかもあるんでしょうね。
入口の前には、小督局(こごうのつぼね)の供養塔があります。
小督局は、高倉天皇の寵愛を受けていた女性ですが、平清盛が娘の徳子を天皇の中宮にしていたため、彼女を無理やり出家させたと、平家物語に書かれています。
清閑寺は、その小督局が出家したお寺です。
清閑寺に訪れたら見ておきたいのが要石(かなめいし)からの京都市街の眺め。
左右の山の斜面の間から見える京都市街が、まるで扇を開いたよう。
要とは扇の中心という意味で、要石は、ちょうど扇形に開けた景色を眺めることができる中心に置かれているから、その名が付いたわけです。
要石の当たりから境内を見るのもおすすめ。
こうやって見ると、山の中にポツンと建つお寺といった雰囲気を味わうことができます。
本堂にお参りを済ませて、その裏に回ったら、ナデシコがきれいに咲いていましたよ。
高い場所にいるからなのか、新緑が日差しを遮ってくれているからなのか、清閑寺の境内は、下界と比べると、ひんやりとして涼しいですね。
地面にびっしりと生えた苔を見ているだけでも、暑さが引いていきます。
鐘楼の向こうには、新緑と赤いカエデの葉。
ちなみにこの鐘楼の奥には、幕末に西郷隆盛と月照が密談をした郭公亭の跡があります。
涼しくて、とても静かな境内なので、いつまでも居続けたいところですが、そういうわけにもいかないので、20分ほどで清閑寺を去ることにしました。
なお、清閑寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。