京都市内には、遅咲きの桜の名所がいくつかあります。
千本通沿いに建つ千本ゑんま堂もそのひとつですね。
京都市上京区の商店街を歩いていると、突如として現れるこのお寺は、一見すると、桜が咲いているようには見えないのですが、境内をよく見ると、1ヶ所だけ桜色に染まった空間があるのがわかります。
私が、千本ゑんま堂を訪れたのは4月中旬でした。
見ごろを迎えた普賢像桜
千本ゑんま堂は、市バス「乾隆校前」から北に2分ほど歩いた辺りに建っています。
下の写真は、入口から見た境内です。
車が何台もとまっているので、駐車場と間違えてしまいそうですが、境内の奥の方をよく見ると、桜が咲いているのがわかります。
桜を見る前にまずは本堂にお参り。
桜が植えられているのは、北側の狭い敷地です。
10人も入れば、混雑してしまうような狭い空間です。
その狭い空間に窮屈そうに植えられた桜たちが、見ごろとなっていました。
千本ゑんま堂で有名なのが、普賢象桜(ふげんぞうざくら)です。
普賢象桜は、八重桜で、花の中心から2本のめしべが伸び、それがまるで普賢菩薩が乗る象の鼻に似ていることから、その名が付きました。
花は下向きに吊るされたように咲きます。
一般的な桜は、終わりが近づくと、花弁が1枚ずつひらひらと舞い落ちていくのですが、普賢象桜は花が房ごと地面にボトッと落ちる点でも他の桜とは異なっています。
普賢象桜は満開と言ってよいでしょう。
境内の北西角にある石塔は、紫式部の供養塔です。
ちなみに千本ゑんま堂から東に歩くと、紫式部のお墓もありますよ。
近くに寄って普賢象桜を観賞。
花弁がたくさんあって、めしべが埋もれてしまっています。
どの花も、象の鼻のように見えるわけではないようです、
その他の八重桜
千本ゑんま堂には普賢象桜の他にも八重桜がいくつか植えられています。
下の写真に写っているのは、二尊院普賢象。
二尊院普賢象は、遅咲き中の遅咲きで、見ごろ時期は4月下旬です。
この桜が満開になる頃には、ほとんどの人が桜のことを忘れてしまっているのではないでしょうか。
花弁の数は200枚以上と、とてもボリュームがあります。
私が訪れた時は、上の写真に写っている花が、咲き始めたばかりといった感じでした。
その他にも咲き始めている花はありましたが、ワイシャツのボタンくらいの小ささでしたよ。
白色にかすかにピンク色が混ざった八重桜は、琴平(ことひら)です。
日差しを浴びて、とてもきれいに見えましたよ。
関山も満開です。
こちらも琴平と同じような色をしています。
千本ゑんま堂の桜は、パッと見ただけだと、全て普賢象桜のように見えます。
琴平と関山には、名前が書かれた札が吊るされているので、品種がわかるのですが、もしもこの札がなければ、普賢象桜と見分けがつきません。
でも、どこかに普賢象桜の特徴があるはずだと思って、木をじっくりと観察していたら、見つけてしまいましたよ。
おそらく、これが普賢象桜とそれに似た八重桜を見分けるポイントだと思います。
そのポイントとは、普賢象桜の葉は茶色ということです。
他の八重桜の葉を見ても緑色が多いんですよね。
特に普賢象桜と間違いやすいのが松月という八重桜なのですが、花の咲き方は両者で違いがわかりません。
でも、葉の色は普賢象桜が茶色、松月が緑色なので、葉に注目すれば見分けがつくはずです。
とは言え、普賢象桜の葉が必ず茶色かと問われると、それはわからないんですけどね。
なお、千本ゑんま堂の詳細については以下のページを参考にしてみてください。