2012年の「京の冬の旅」で特別公開されることになった相国寺の法堂(はっとう)と開山堂(かいさんどう)。
辰年なので、法堂の天井に描かれた蟠龍図を見ておこうと思い、2月下旬に相国寺を訪れてきました。
法堂の蟠龍図
相国寺は、地下鉄今出川駅から徒歩5分ほどの場所に建っています。
南の門をくぐってまっすぐに進んでいくと、法堂と開山堂の拝観受付があります。
拝観料は600円。
まずは、順路の矢印にしたがって法堂に向かいます。
法堂は外から見ると、2階建てのように見えるのですが、実は1階しかありません。
なので、天井がとても高くなっています。
その高い天井には、大きな円の中に龍が描かれています。
この龍の絵が、狩野光信筆の蟠龍図です。
法堂内を歩くときは、龍の目を見ながら順路にしたがって進むとおもしろいですよ。
どこに行こうと必ず龍の目が自分を睨み付けてきます。
しかも、自分が移動するのに合わせて龍が首を振ります。
法堂の左側に来ると龍の目は右を向いているのですが、右側に進むと不思議なことに龍の目は左を向いています。
「なぜ?」と思ってしまいますが、よくよく考えてみると、「そういうことか」と気づきますよ。
そして、蟠龍図にはもうひとつ興味深い仕掛けがあります。
それは法堂内で手を「パンッ!」と叩くと、龍が「グルルルル・・・」と鳴くようになっているのです。
そのため、蟠龍図は鳴き龍とも呼ばれています。
ところで、手を叩くとなぜ龍が鳴くのでしょうか。
法堂は、えらいお坊さんが、講義を行うための建物です。
昔はマイクが無かったので、講義をされるお坊さんの声が、しっかりと聞こえるように建物内の音を反響させるように設計していたのです。
そのため、手を叩くと、その音が反響して龍が鳴いているように聞こえるんですね。
ちなみに以前、大徳寺に訪れた時も法堂の天井に龍の絵が描かれていました。こちらの龍も手を叩くと音が反響する鳴き龍でした。
開山堂と龍淵水の庭
法堂の次は開山堂へ。
開山堂は、江戸時代に桃園天皇の皇后の恭礼門院の黒御殿を移築した建物で、相国寺の開山である夢窓疎石の像を祀っています。
開山堂の杉戸には、円山応挙(まるやまおうきょ)筆と伝わる絵が描かれています。
杉戸の外側に描かれた絵は、太陽の光によって色があせてしまっていましたが、内側の絵はしっかりと色が残っていました。
そこに描かれている絵は、かわいらしい白色の子犬4匹です。5匹だったかな?
開山堂の前に広がるのは、龍淵水の庭と呼ばれる庭園です。
地面に白砂を敷き詰め、その上に石組を配した、禅寺でよく見る枯山水庭園。
と、一見思ってしまいますが、実は、白砂の奥に地面に苔がびっしりと生えた池泉式庭園があります。
ガイドの方の話によると、建物の南側が枯山水で、北側が苔の庭といったように両者は異なる場所に造られることが多いのですが、龍淵水の庭は、同じ場所に枯山水庭園と池泉式庭園を配している点で珍しい造りとなっているそうです。
池泉式庭園の池は、庭の東側から南側に向かって水が流れるようになっています。
下の写真に写っているたくさんの小さな石が、まるで龍の鱗のようです。
白砂の円の模様も見事です。
先ほど、建物は恭礼門院の黒御殿を移築したものと述べましたが、それを示す菊の御紋が手すりに残っていました。
なんか、ここに自分がいることが、畏れ多い気がします。
俵屋吉富「京菓子資料館」で抹茶と京菓子をいただく
相国寺の拝観後は、近くの俵屋吉富「京菓子資料館」に行きました。
「京の冬の旅」では、スタンプラリーが開催されていて、特別公開されている観光名所でスタンプを3つ押してもらうと、指定のお店で、抹茶やコーヒー、紅茶などをいただくことができます。
受付で、スタンプが押された券を提示すると休憩所に案内されます。
そして、数分待つと、上品な京菓子と抹茶が運ばれてきます。
京都散策にちょうど良い休憩時間となりました。
京菓子資料館の中庭も、とても上品でした。
千両の実が冬らしいです。
万両の実もありました。こちらの写真は、少しぶれてしまってますね。
なお、相国寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。