京都市下京区の五条通と七条通の間に長講堂というお寺が建っています。
長講堂は、普段は門が閉まっていて拝観できないのですが、2012年の「京の冬の旅 非公開文化財特別公開」で、初めて寺宝が公開されることになりました。
この機会を逃しては、次、いつ拝観できるかわからないので、公開が始まった数日後に長講堂を訪れました。
長講堂の寺宝
長講堂は、地下鉄五条駅から東に10分ほど歩いた辺りに建っています。
創建されたのは寿永2年(1183年)で、後白河法皇が仙洞御所六条殿の持仏堂として建立しました。
その後、豊臣秀吉の京都改造の際に現在地に定まっています。
門をくぐって左にある拝観受付で600円を納め、建物内に入ります。
建物内と庭園は写真撮影が禁止なので、ここからは文章のみで紹介していきます。
後白河法皇の画像
建物内には、後白河法皇ゆかりの品々が展示されていて、ガイドの方が詳しく解説してくださいます。
壁には、後白河法皇の画像が掛けられていました。
この画像は模写で、実際の「後白河法皇御真影」は、普段は見ることができず、50年おきの法皇の大遠忌(だいおんき)の時に宮内庁の勅使立会いのもとで開扉されるとのこと。
ちなみに前回の開扉は、平成3年(1991年)でした。
過去現在牒
同じ部屋には、法皇直筆の過去現在牒も展示されていました。
過去現在牒は、神武天皇から安徳天皇までの歴代の天皇の名の他に後白河法皇と因縁のある人々の名も記載されています。
法皇と政治的に深い関係にあった平清盛はもちろんのこと、源義朝やその子の頼朝、義行(義経)など源氏の名も多数書かれています。
白拍子の祇王や仏御前の名があるのも興味深いですね。
後白河法皇御尊像
御影殿と呼ばれる建物には、後白河法皇の像が祀られています。
この像は、後白河法皇御真影をもとに明暦4年(1658年)に仏師の康智が作ったものだそうです。
京の冬の旅の看板に使用されている写真が、後白河法皇御尊像です。
記念に撮影しておきました。
百万遍大念珠
大きな数珠が部屋の隅に置かれていました。
この数珠は、百万遍大念珠といいます。
長講堂は、幕末の蛤御門(はまぐりごもん)の変の際に焼失しましたが、その2年後の慶応2年(1866年)に再建されました。
この時の余材木で作られたのが、百万遍大念珠です。
数珠の珠をよく見てみると、その中に小さな像が埋め込まれています。
どの像も、細かい部分まで丁寧に作られています。
上記の他に阿弥陀三尊立像などにもお参りすることができます。
境内の景色
建物内の寺宝を鑑賞した後は、境内を散策。
下の写真に写っているのは、長講堂の本堂です。
寺宝は、この中に展示されていました。
下の写真に写っているのは、後白河法皇御尊像を祀っている御影殿の前にある門です。
御影殿の門の正面には、赤いサザンカの花が咲いていました。
拝観受付付近には、ピンク色の椿の花も。淡い色が可憐です。
冬と言えばナンテン。
撮影禁止の庭園にもありましたよ。
以上が、長講堂の特別公開の内容でした。
余談ですが、長講堂の隣には、平清盛ゆかりの駒止地蔵を祀っている蓮光寺が建っています。
後白河法皇と平清盛は、数々の因縁がありましたが、両者ゆかりのお寺が隣り合って建っているというのは、何か運命めいたものを感じますね。
なお、長講堂の詳細については以下のページを参考にしてみてください。