京都駅から10分ほど北東に歩くと渉成園という庭園があります。
この渉成園は、東本願寺の飛地境内で江戸時代に造られました。
庭園は、町中にあるにもかかわらず、かなり広く、建造物もたくさんあります。
そこで、今回の記事では、渉成園の中にある珍しい建造物をいくつか紹介したいと思います。
入り口から傍花閣まで
入口の西門から入場して正面に見えるのは、高石垣です。
石垣というと、多少は違いがあるけれど、同じくらいの大きさや形をした石を積み上げているものですが、渉成園の高石垣に使われている石は様々な形をしています。
よく見ると、円い石臼なんかもありますね。
高石垣を過ぎ、順路に従って、庭園の北西に進むとL字形の建物が現れます。
ひとつの建物のように見えますが、実は、臨池亭(りんちてい)と滴翠軒(てきすいけん)という2つの建物から構成されています。
下の写真の左側が臨池亭です。
2つの建物は、吹き出しの廊下でつながっています。
また、滴翠軒の縁側は、池中に張りだしています。夏はこの縁側に座って池を眺めると涼しそうですね。
臨池亭と滴翠軒から北に進むと、亀の甲の井戸という名の井戸が掘られています。
木の陰になっていてわかりにくいですが、確かに亀の形をしています。
左の大きな石が頭です。
庭園の中央付近に建つ傍花閣も珍しい形をしています。
何かのゲームのキャラクターのようですね。
建物の左右側面に山廊という階段があり、2階には四畳半の部屋が設けられているそうです。
ちなみに渉成園では、建物内の拝観はできません。
印月池付近
庭園の南東には、印月池(いんげつち)という大きな池があります。
印月池には、2つの島があり、そのうちの1つには侵雪橋という橋が架かっているので、渡ることができます。
島には、縮遠亭という茶室が建っていて、その脇には、塩釜の手水鉢(ちょうずばち)が置かれています。
拝観案内によると、渉成園の塩釜の手水鉢は、全国の庭園にある塩釜の手水鉢の手本となるもので、渉成園の景物として最も重要なものだとか。
単なる置物かと思ったのですが、そんなに重要なものだったとは驚きです。
印月池にあるもうひとつの島は、臥龍堂と呼ばれています。
臥龍堂という名は、以前、この島に建っていた鐘楼堂の名称です。
昔は、隣の島にある茶室の縮遠亭へと向かう船の時刻を告げていたそうです。
しかし、安政の大火(1858年)で焼失し、現在まで再建されていません。
印月池の東には、九重の石塔があります。
この石塔は、源氏物語の主人公の光源氏のモデルとされる源融(みなもとのとおる)の供養塔と伝えられています。
渉成園が造られる前からこの地にあったそうです。
縮遠亭がある島と陸を結ぶ侵雪橋の他に、もう1本、回悼廊(かいとうろう)という橋も架かっています。
回悼廊の中央から池を望むと、まるで貴族になった気分になります。
入り口が低くなっているので、頭をぶつけないように注意してください。
印月池の水は相当な量ありますが、その水は、獅子吼(ししく)という場所から流れ込んでいます。
多くの庭園では、高さのある滝から水が流れ落ちるようになっていますが、渉成園の獅子吼は、まるで地面から水がわき出ているように造られています。
獅子吼からわき出る水は、地下水をくみ上げているそうです。
下の写真は、おまけです。
和風の庭園から近代的な建物の京都タワーを眺めるのも、味がありますね。
渉成園には、桜が植えられているので、春に訪れると良いですよ。
なお、渉成園の詳細については以下のページを参考にしてみてください。