じっくり拝観したい仁和寺

京都市右京区には、世界遺産に登録されている寺院がたくさんあります。

御室(おむろ)に建つ仁和寺(にんなじ)もその内のひとつですね。

御室御所と呼ばれた門跡寺院

仁和寺は、仁和2年(886年)に光孝天皇が伽藍建立に着工しましたが、翌年に崩御されたことから、宇多天皇がその遺志をついで仁和4年に完成させました。

後に宇多天皇が出家して法皇となり、僧坊を設けたことから、仁和寺は御室御所と呼ばれるようになります。

ちなみに地名の御室もこれが由来です。

宇多法皇以降も皇子皇孫が出家して仁和寺に入ったことから、仁和寺は明治維新まで門跡寺院として最高位にありました。

仁和寺の境内に入る時は、やはり、南側の二王門から入りたいところです。

二王門

二王門自体も迫力がありますが、門の左右に立っている金剛力士像もなかなかの迫力です。

二王門をくぐると長く延びた道をまっすぐに進み、さらに中門をくぐります。

その先には、立派な金堂が建っています。

金堂

金堂

金堂は仁和寺の本堂で、仁和4年に宇多天皇が建立しました。

しかし、その後、応仁の乱(1467年)で焼失してしまいます。

現在の金堂は、慶長年間(1596-1615年)に造営された内裏紫宸殿(だいりししんでん)を寛永年間(1624-1644年)に移築したものです。

現存する最古の紫宸殿ということで国宝に指定されています。

堂内には、本尊の阿弥陀三尊像などが安置されています。

境内の東側を散策

さて、境内北側の中心に建つ金堂を拝観した後は、境内の東側の散策です。

仁和寺には、京都市にある4つの五重塔のうちのひとつが建っています。

五重塔

五重塔

仁和寺の諸堂は、江戸時代前期に徳川家光が20万両を寄進した際に再建されたものが多く、五重塔も寛永21年(1644年)に再建されました。

ちなみに同じ年に東寺の五重塔も家光の寄進で再建されています。

じっくり観ると仁和寺の五重塔と東寺の五重塔が似た形をしているのに気付きますよ。

五重塔は近くで見るのもいいですが、私は離れた所から見る方が好きですね。

特に御殿内の北庭越しに見える五重塔がお気に入りです。

御殿から北庭越しに見た五重塔

御殿から北庭越しに見た五重塔

他にも、春に満開の御室桜越しに見る五重塔もなかな風情がありますよ。

五重塔の後ろには、九所明神が祀られています。

九所明神

九所明神

九所明神は、仁和寺の鎮守で、寛永年間の再建時に八幡、加茂、山王、天神、稲荷、松尾、平野、小比叡、大原野の九座のご神体を勧請(かんじょう)したそうです。

神様がたくさん祀られているので、ご利益がありそうです。しっかりとお祈りしておきましょう。

九所明神の近くには経蔵も経っています。

経蔵

経蔵

経蔵内には、釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩などが安置されており、壁面には菩薩や羅漢などが描かれているそうです。

境内西側を散策

仁和寺境内の東側を散策した後は、金堂を横切って西側へ移動です。

西側には御室桜がたくさん植えられている一角があり、その近くに本尊の千手観音菩薩を安置する観音堂が建っています。

観音堂

観音堂

観音堂は外から見ると地味な建物なのですが、内部の壁面や柱には極彩色の仏や高僧が描かれているそうです。

観音堂を北に進むと水掛不動尊が祀られています。

水掛不動尊

水掛不動尊

大きな柄杓のようなもので水をすくい不動尊に掛けて祈願すると、諸願成就、幼児の難病平癒のご利益があるとされています。

水掛不動尊でお祈りをした後は、その西側の御影堂(みえどう)にお参りです。

御影堂

御影堂

桧皮葺の屋根を眺めていると心が落ち着きますね。

御影堂は、慶長年間に造営された内裏清涼殿の一部を下賜され、寛永年間に再建されたものです。

弘法大師空海、仁和寺開山寛平法皇(かんぴょうほうおう)、第二世性信法親王(しょうしんほうしんのう)を安置しています。

御影堂は、お参りの際に中を観ることができます。

仁和寺は、世界遺産に登録されているだけあって、境内が広く、御殿も含めてじっくりと拝観すると2時間程度かかります。

急いで拝観すれば1時間もかからないでしょうが、それだともったいないので、時間をかけて拝観したいですね。

なお、仁和寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。

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