京都市上京区の市バス亭千本上立売から歩いてすぐの場所に石像寺(しゃくぞうじ)というお寺が、ひっそりと建っています。
石像寺には、お地蔵さんが祀られているのですが、このお地蔵さんは苦しみを抜いてくれるということで、信仰を集めています。
前世の行いのせいで両手が痛くなった商人
石像寺は、弘法大師空海の開基と伝えられていることから、かなり歴史のあるお寺です。
境内には、お地蔵さんが祀られており、以前は苦抜地蔵(くぬきじぞう)と呼ばれていたのですが、ある逸話から釘抜地蔵と呼ばれるようになりました。
時は、室町時代(戦国時代)、京都に紀伊国屋道林という大商人がいました。
道林は、ある日、両手に痛みを感じます。
彼は、痛みを取るためにいろいろと治療をしてみたのですが、一向に治る気配がありません。
そこで、道林は石像寺を訪れ、苦しみを抜いてくれる苦抜地蔵に両手の痛みが治るように願掛けをしました。
そして、ある日、道林は夢を見ます。
その夢の中に地蔵尊が現れ、道林に対して以下のように言いました。
「そなたの両手の痛みは、前世に人を恨んで、人形の両手に八寸の釘を打ち込んで、呪ったことが原因である。私が、その前世の恨みの釘を抜いてやろう」
そう言って、地蔵尊は、2本の釘を引きぬき、それを道林に示したところで、夢が覚めました。
道林は、何気なく自分の両手を確認したところ、昨日までの痛みが完全に消えていました。
「これは、石像寺の地蔵尊のおかげに違いない」
そう思った彼は、さっそく地蔵尊の元へお礼詣りに行きました。
そして、石像寺に着いた道林が地蔵尊の前に行くと、そこには赤く染まった2本の釘が置かれていたそうです。
それ以来、苦抜地蔵は、釘抜地蔵と呼ばれるようになりました。
現在、石像寺の地蔵堂の壁には、釘抜きと八寸釘の絵馬がびっしりと掛かっています。
下の写真の屋根の下の茶色い部分は、釘抜きと八寸釘の絵馬です。
壁にびっしりと架かっている絵馬は、実際に訪れてご覧になってみてください。
どうしても、今、その写真を見てみたいという方は、下記のサイトに掲載されていますので、どうぞ。
石像寺の境内には、他にも弘法大師三井(さんせい)のひとつと言われる加持水や鎌倉時代の歌人の藤原定家のものと伝えられるお墓もあります。
小さなお寺ですが、なかなか興味深いお寺ですね。
なお、石像寺の詳細は、以下のページを参考にしてみてください。