地下鉄五条駅と清水五条駅の間にあるお寺巡り

京阪電車の清水五条駅で降りる観光客の方の多くが、清水寺へ行くために東に歩いて行きます。

また、清水五条駅から15分ほど西に歩いた場所に地下鉄五条駅があるのですが、こちらで降りる方は、その周辺で働いていることが多く、観光目的の方が少ないですね。

そのため、清水五条駅から地下鉄五条駅までの一帯は、あまり観光客の方が訪れません。

でも、両駅の中間あたりにある富小路通には、本覚寺、上徳寺、蓮光寺、長講堂といった興味深いお寺が建っています。

そこで、今回は、これらのお寺について紹介したいと思います。

本覚寺

富小路通を南に向かって歩くと最初に目に入るのが本覚寺です。

本覚寺

本覚寺

本覚寺は、応仁の乱(1467年)や幕末の動乱などで焼失しましたが、再建を繰り返し、現在に至っています。

現在地に移ったのは、安土桃山時代のことで豊臣秀吉の命によります。

本覚寺が建っている辺りは、源融(みなもとのとおる)の河原院塩竃の第があった場所と伝えられています。

源融は、鴨川の水を池に引き入れて、宮城県の塩竃の浦の景観を移し、毎月、難波の海から海水を運ばせて、塩焼きをし、その風情を楽しんだとか。

今では、近代的な街になっていて、平安時代の面影はありませんが、近くを流れる鴨川を見ていると何となく当時の風景を思い起こさせます。

上徳寺

上徳寺は、本覚寺の斜め向かいに建っています。

上徳寺

上徳寺

上徳寺の地蔵堂には、高さが2メートルもある石造りのお地蔵さんが安置されています。

このお地蔵さんは、世継ぎ地蔵と呼ばれており、その名の通り、良い世継ぎに恵まれるとして信仰を集めています。

蓮光寺

上徳寺からしばらく南に歩くと蓮光寺が見えてきます。

蓮光寺

蓮光寺

蓮光寺には、本尊の負別如来(おいわけにょらい)と駒止地蔵が安置されています。

負別如来は、快慶の作と伝えられています。

快慶は、僧に頼まれて阿弥陀如来像を造り、手渡しました。しかし、その出来栄えがあまりに素晴らしかったため、快慶は僧の後を追って、その阿弥陀如来像を返して欲しいといいます。

そこで、僧が箱のふたを開けてみると、なんと阿弥陀如来が二体に分かれていました。

快慶と僧は、それに感激し、一体ずつ持ち帰ったそうです。

その一体が蓮光寺の負別如来で、もう一体は仙台市泉区の阿弥陀堂に安置されている笈分如来(おいわけにょらい)と伝えられています。

また、駒止地蔵は、平清盛の乗る馬が六条河原に差し掛かった時に急に動かなくなったため、その場所を掘ってみたところ出土したことから、その名が付いたと伝えられています。

長講堂

蓮光寺のやや南に建っているのが、長講堂です。

長講堂

長講堂

長講堂は、後白河法皇が晩年を過ごした六条殿内に建立した持仏堂が始まりです。

本堂には、後白河法皇の臨終仏である阿弥陀三尊像が本尊として祀られています。

以上、簡単に富小路通にある4つのお寺を紹介しました。

これらのお寺の多くが、普段は門を閉ざしていて入ることができません。

なので、富小路通のお寺に訪れることを京都観光の目的とせず、清水寺などに訪れた際、時間に余裕があったら、富小路通を散策してみるといった感じでいいと思います。

こういったあまり知られていない場所を散策して、新たな発見をするのも、京都観光や旅行の楽しみ方の一つですね。

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