京都市北区の正伝寺には、遠くに比叡山を望む獅子の子渡し庭園があります。
割と簡素な庭園なのですが、ここから眺める比叡山は格別で、一度訪れるとその風景を忘れることができませんね。
京都らしさを感じられるかというと、そうでもありません。
でも、自然の中でのんびりと風景を楽しめる庭園としては、京都の中でもトップクラスと言えます。
今回の記事では、正伝寺の獅子の子渡し庭園を紹介します。
晴天の日に見る比叡山
正伝寺は、市バス停「神光院前」で下車して北西に徒歩約15分の場所にあります。
歩いて行くにつれて目の前に山が迫って来るので、本当にこんなところにお寺があるのかと心配になりますが、その山のふもとが正伝寺の入り口です。
森林に包まれた参道を上っていくと建物が現れるので、その入り口で拝観料を納め、本堂の方丈に向かいます。
そして、広縁の前から、白砂とサツキの刈込で構成された獅子の子渡し庭園を眺めます。
白砂敷平庭の獅子の子渡し庭園は、江戸時代初期の小堀遠州の作と伝えられています。
比叡山を借景にした枯山水庭園で、ここからは自然の景色しか見えません。
晴れていると比叡山の山肌もくっきりと見えます。
獅子の子渡し庭園のサツキの刈込は、同時代の庭園で見られることがありますが、正伝寺のように七五三調にサツキの刈込を配している庭は珍しいとのこと。
低い土塀の後ろには枝垂れ桜が植えられており、春に比叡山と一緒に見るのがおすすめです。
秋の紅葉
正伝寺は、日ごろから訪れる人が少ないので、境内はとても静かです。
このような静かなお寺は特に秋の紅葉とよく調和します。
比叡山の前に真っ赤なモミジが雲海のように広がります。
上の写真は曇りの日に撮影したので見栄えが良くないですが、実際に目にした景色は写真では表現できないほど見事でしたよ。
比叡山を借景にした庭園は、左京区の円通寺が有名で、あちらは目の前に比叡山が迫るような迫力があります。
一方の正伝寺の獅子の子渡し庭園からは、遠くに比叡山が見えるので、圧倒されることなく落ち着いて観賞できます。
どちらの庭園が良いか甲乙つけがたいので、実際に正伝寺と円通寺に参拝して見比べて欲しいですね。
本堂の広縁から右に目をやると、サツキの刈込の奥にひっそりと建物が建っています。
その奥にはスギなどの木々が植わり、今、自分が山の中にいることを実感できます。
正伝寺の獅子の子渡し庭園を拝観する場合、必ず晴れの日を選びましょう。
上の写真は、雨の日に正伝寺を訪れたときに撮影したのですが、雲に覆われて比叡山が全く見えませんでした。
比叡山が見えないと、庭園の美しさが半減してしまいますね。
正伝寺の獅子の子渡し庭園は、比叡山を借景として取り込んでいるため、その景色は雄大ですが、不思議と落ち着きがあります。
都会の喧騒を忘れたい方は、ぜひ正伝寺を訪れてください。
なお、正伝寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。