京都市上京区に鎮座する上御霊神社(かみごりょうじんじゃ)は、応仁の乱勃発の地として歴史的に知られています。
その上御霊神社の境内に建つ本殿の南側には、子供たちが大きな甕の周りで遊んでいる「清明心の像」があります。
何やら楽しげに見える清明心の像ですが、実は、この像には深い教訓が示されているのです。
物よりも生命が尊いことを教えている
上御霊神社には、地下鉄の鞍馬口駅から東に3分ほど歩くと到着します。
楼門をくぐり、境内を東に進むと拝殿があり、その拝殿の後ろに本殿が建っています。
その本殿から少し南に歩くと、木々に囲まれた一角に清明心の像が置かれています。
大きな甕の周りで、子供たちが踊っているように見えます。
近くの説明書を読んでみましょう。
清明心(きよきあかきこころ)とは、清く明るく直き正しい誠の心のことです。
中国宋代の学者司馬温公は、幼少の頃、数人の子供と満水した大甕の周辺で遊んでいました。
すると、1人が甕に登り誤って水中に落ちてしまいました。
子供たちは、うろたえましたが、司馬温公はそれを尻目に大石をもって甕を割り友人の命を救いました。
この故事を造型し、「清明心の像」と名付けたとのこと。
清明心の像が、上御霊神社に建立されたのは、昭和54年(1979年)です。
この年は、1959年の児童権利宣言から20周年にあたり、国連が国際児童年と定めました。
清明心の像は、国際児童年にあたり、世界の子供たちに生命は物質よりも尊いとの精神を改めて認識してもらいたいとの思いで、境内に奉献されたのだとか。
そのような意義を知って、もう一度、清明心の像を見ると、先ほどとは違った見え方がしてきます。
大甕の右側が割れ、子供がヘッドスライディングをするように飛び出ていますが、これは、司馬温公が大甕を割って、おぼれていた子供が助け出されたところなんですね。
助かった子供の後ろにいるのが司馬温公なのでしょうか。
何かの教訓を伝える石碑などは、お寺で見かけることが多いのですが、神社でも置かれていることがあります。
京都観光で、お寺や神社に参拝した際は、こういった像も見ておくと、新たな発見があるものです。
なお、上御霊神社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。