10月22日に木屋町三条で見た時代祭。
織田公上洛列が過ぎ去り、室町時代の行列がやって来ました。
室町幕府執政列には登場人物の名がない
曇り空の三条通に室町時代の最初の行列室町幕府執政列が姿を現しました。

室町時代
奉仕するのは、平安講社第9社と第11社です。
本列は、武家風俗を中心とするもので、当時の武士の軽武装姿を表現しています。
馬上の武士が5人登場し、先ほど見た織田公上洛列と見た目が似ています。
ただ、武士の甲冑をよく見ると安土桃山時代と室町時代で違いがあるのに気づきますよ。
雑色や供侍の後ろからやって来たのは、政所執事の伊勢氏。

伊勢氏
引立烏帽子に色々縅(いろいろおどし)の腹巻を身にまとっていますが、上の写真は小さくてわかりにくいですね。
葦毛の馬に光沢のある柑橘系の色の衣装をまとってやってくるのが足利将軍で、本列の主役です。

足利将軍
赤地金襴桐文様の鎧直垂(よろいひたたれ)に引立烏帽子の姿は、前後を警備する武士たちより軽装に見えます。
一見すると無防備に見えますが、首元に紺糸縅(こんいとおどし)の喉輪が見られますから、ノーガードではないことがわかります。
足利将軍の後ろからは、公家、法中、御医師、御博士などが続きます。

足利将軍の後方
将軍に何かあった時のためにこれだけの従者を連れているのでしょうか。
足利将軍が正面にやって来たところで一旦停止。

正面にやって来た足利将軍
腰には黒熊毛尻鞘付の太刀、足元は桐紋金具脛当に黒熊毛の貫(つらぬき)。
重藤の弓も持っているはずなのですが、見られませんでした。
他の人が代わりに持っているのでしょうか。
大きな兜を被って登場したのは、管領(かんれい)の細川氏。

細川氏
管領は、室町幕府の重職で、細川、斯波、畠山の三家が交代で就任しました。
兜だけでなく、藍糸縅(あいいとおどし)の胴丸も足利将軍より立派に見え、こちらが実は将軍ではないかと思えるような威圧感があります。
本列で兜を被っているのは細川氏だけなので、そう思わせるのかもしれません。
室町幕府執政列の後方を行くのは、侍所所司の山名氏と評定衆の二階堂氏です。

山名氏と二階堂氏
侍所所司は、代々、山名、一色、赤松、京極が交代で務めました。
また、評定衆は政事を合議し決裁する役職です。
目の前を通過していく山名氏は、引立烏帽子に色々縅の胴丸を身につけています。

通過する山名氏
山名氏も、藤巻の弓を持っているはずなのですが、見られませんでした。
室町幕府執政列は、馬上の武士が登場するものの、足利義満や細川勝元などの具体的な名がなく、足利将軍や細川氏となっているのが特徴的ですね。
また、本列は当初は存在していなかったのですが、平成19年(2007年)の桓武天皇千二百年記念大祭を機に新設されています。
足利尊氏は、北朝を作って朝廷を分断した理由で戦前まで逆賊とされていましたから、さすがに明治時代に時代祭の列に加えられなかったのでしょう。
この後は、室町洛中風俗列が登場します。