京都市伏見区の京阪淀駅を西に出るとバスターミナルがあります。
そのバスターミナルから横断歩道を西に渡ってすぐの場所に雨庭が作られているのに気づきました。
最近、京都市内で雨庭が増えていますね。
淀小橋の石碑
雨庭の中央には、横長の長方形の石碑があり、これは以前から置かれていました。
石碑は淀小橋に関するものです。

淀小橋の石碑
文字が大きく刻まれているので読みやすいですね。
内容は、以前に架かっていた淀小橋は長さが405尺(約122.7メートル)、北の橋台の長さが12尺(約3.6メートル)あったのを増築し、南の橋台の左右の川幅を広げて改造し、長さ556尺5寸(約171.3メートル)とし、中央に72尺(約21.8メートル)の間柱を設けず、船が通過するのを便利にしたというものです。
明治11年(1878年)と刻まれているので、随分と昔のことです。
かつて、この辺りは、宇治川と木津川が合流する地点でしたが、20世紀の初めに合流地点を南に付け替える工事が行われ、現在では、八幡市で桂川とともに三川が合流するようになっています。
そして、合流した三川は淀川となり、遠く大阪湾にそそいでいます。
宇治川と桂川の合流地点を付け替えたことから、淀小橋は不要となり、現在はその姿を見られません。
雨庭の構造を見てみよう
淀駅の雨庭は、淀小橋の石碑を囲むように設けられています。

雨庭
雨庭は、地上に降った雨水を下水道に直接放流することなく一時的に貯留し、ゆっくりと地中に浸透させる構造を持った植栽空間です。
敷き詰められた砂利は、深いところで60cmもあります。

砂利
中央に木が植わっており、その周囲に砂利を敷いた州浜を設けることで、雨水が浸透しやすくなるんですね。
そして、60cmの深さがあることから、雨水を一時的に貯留することが可能になっています。
砂利の部分には、細長い石がいくつも埋まっているのがわかります。

細長い石
何のためにあるのでしょうか。
細長い石も60cmの深さまで埋まっているとしたら、薄い石の板ということになりますが、それなら、砂利を満遍なく埋めるために設置したのかもしれません。
雨庭を囲む縁石の一部は、穴あきブロックとなっています。

穴あきのブロック
これ、何の穴だかわかりますか。
ブロックを持ち上げやすくするための穴ではないですよ。
縁石の一部に穴あきブロックを配置しているのは、道路に降った雨も、雨庭に集めるためです。
たまに水溜まりができた歩道がありますが、雨庭があることで、周囲に水溜まりができにくくなります。
小さな工夫ですが、このおかげで足元が濡れず助かりますね。
淀駅の雨庭は、先ほど見たものの西隣にもうひとつ設けられています。

西側の雨庭
こちらの方が、緑が多く、庭らしく感じますね。
もともと植わっていた街路樹を利用したのでしょう。
雨庭の最西端にやって来ると、細くなっていました。

西端から見た雨庭
2つの雨庭全体を見下ろすと、クリスマスツリーのような円錐形であることがわかるはずです。
近くのビルの上の階から見下ろせば全景がわかりますが、部外者が勝手にビルに入れませんので、歩道に立って上から見下ろした場合の姿を想像するしかありません。
淀駅に雨庭が造られたのは、令和7年(2025年)3月とのこと。
他に四条堀川、東本願寺、妙伝寺で雨庭を見たことがありますが、また、京都を歩いていると雨庭に出会えるでしょう。