丸太町通を挟んで京都御苑の南側に京都地方裁判所があります。
京都地方裁判所の所在地は京都市中京区菊屋町なのですが、丸太町通に面する玄関付近は桑原町という地名になっています。
この桑原町は、地名を残しておく必要があるのかと思うほど、面積が狭い町です。
誰も住んでいない
京都地方裁判所には、地下鉄の丸太町駅から丸太町通を東に約5分歩くと到着します。
丸太町通を歩き、京都地方裁判所の正面にやって来ると、そこが桑原町です。
桑原町の面積は、東西28メートル、南北16メートルということですから、コンビニ1店舗ほどの広さしかありません。
こんな狭いんだったら菊屋町と合併したら良いのではないかと思うのですが。
とても狭い桑原町ですが、かつては、もっと面積が広く、丸太町通を挟んで北側もその範囲でした。
以前に紹介した書籍『京都 知られざる歴史探検』の上巻によると、江戸時代初期には桑原町の北側に山内一豊の妻の見性院(千代)の邸宅があったそうです。
桑原町が、現在の面積になったのは、明治になってからでした。
丸太町通を挟んだ北側は、京都御苑に割譲され、南側だけが桑原町として残ります。
その南側も、明治13年(1880年)に京都地方裁判所の移転とともに接収され、現在は裁判所の前庭となっています。
当然、裁判所の敷地の一部ですから、桑原町には誰一人住んでいません。
さて、京都地方裁判所ですが、敷地を囲む歩道には、八重紅枝垂れ桜が植えられており、4月上旬から中旬にかけて、傘のように薄紅色の花を咲かせます。

京都地方裁判所の八重紅枝垂れ桜
京都御苑にお花見に訪れた際は、京都地方裁判所の八重紅枝垂れ桜も見ておきたいですね。
ただ、裁判所の正面、ちょうど桑原町にあたるところには、八重紅枝垂れ桜が植えられていません。
通行の邪魔になるから植えなかったのか、理由はよくわかりません。
人も住まなければ桜も植えられていない桑原町。
少し寂しい感じはしますが、今も地名が残っていることから忘れ去られることはなさそうです。
市バスの停留所もありますからね。
人は住んでいなくても、人が行きかう町。
それが桑原町なのです。