京都の知られざる歴史を発見するために読んでみた

京都観光の魅力のひとつは、過去から現在まで長い歴史を持つ都市というところにあると思います。

京都の歴史は、日本史の大きな歴史の流れと重なる部分が多く、何気なく訪れた場所でも、そこが歴史的に重大な事件が起こった場所だったということはよくありますね。

また、有名な事件ではないものの、日本史の一部分に大きな影響を与えた事件になると、何度も京都で起こっています。

そのような京都の歴史をまとめたのが、山田邦和さんの著書の「京都 知られざる歴史探検」です。

地域ごとに短編を収録

「京都 知られざる歴史探検」は、上巻と下巻の2冊からなります。

上巻の「はじめに」で以下のように述べられているのですが、この部分は私も京都を散策していて確かにそのとおりだと感じる部分ですね。

京都の街をあるくと、そこかしこに歴史の痕跡が息づいている。町角にひっそりとたたずむ小さなお寺や神社にも、思いもかけないような深い歴史が秘められている。道路脇の一本の石碑が、日本史を揺るがす大事件の記憶を留めている。誰もが知っているような有名寺院であっても、スポット・ライトのあて方によっては今まで気づかれなかったような斬新な表情で私たちを出迎えてくれることもあるだろう。京都の歴史が織りなしてきた多彩さをひとつひとつ拾い出していくこと、それこそが京都散策の醍醐味なのだと思う。

構成は、上巻が上京、洛北、洛東・山科の4地域、下巻が下京、洛西、洛南・伏見、乙訓・宇治、南山城、丹波・丹後の6地域となっており、それぞれの史跡や寺社が3ページで紹介されています。

1ヶ所3ページなので、ちょっと時間がある時に読めるのが良いですね。

また、あの石碑はどこにあったかなと思った時には、目次を見ればすぐに探せますし、巻末に地図が掲載されているのも便利です。

上京は歴史の宝庫

上巻では、最初に上京の名所から紹介されていきます。

上京では、現在の上京区とその南側の中京区の一部までの名所が掲載されています。

特にこの地域は歴史的にも有名な事件がよく起こっており、読み始めたばかりの読者をひきつけるのに優れた構成になっているなと思いますね。

上京の代表的な建築物は、何と言っても京都御所です。

京都御所

京都御所

もちろん、同書でも京都御所や京都御苑について、日本史との関係が解説されています。

  • 豊臣秀吉が最晩年に京都に築いた京都新城は、今の仙洞御所や大宮御所がある場所だった。
  • 花山天皇と宗像神社がどう関係しているのか。
  • 小一条院を御所していた平安時代中期の敦明親王(あつあきらしんのう)はどのような人物だったのか

こういったことは、あまり知られていないのですが、「京都 知られざる歴史探検」では、わかりやすく紹介されていますね。

街中に立つ石碑の解説が多い

京都の街を散策していると、突如、交差点の端などに石碑を見つけることがあります。

石碑と一緒に説明書が設置されていることもあるのですが、ただ石碑が置かれているだけのところも多数あります。

いったい、この石碑は何を表しているのか。

とりあえず写真は撮っておくのですが、そのような疑問を持ったまま帰宅することが多いです。

そして、インターネットで調べて、石碑の意味がわかることもあるのですが、手掛かりすら見つけることができなかったということが何度もあります。

でも、本書を何気なく読んでいると、過去に見つけた石碑の解説が載っており、長い間の疑問が解決したということがありました。

短編は、全部で163も収録されています。

これだけ多くの史跡が解説されていれば、街中で見つけた石碑が、どのような理由で建立されたのかを調べるのにも重宝しますね。

ただ、他の書籍でもよく紹介されている石碑や寺社も掲載されていますから、類書を持っていると内容が重複する部分があります。

短編を収録した形の京都を紹介した本だと、どうしても他の本と似た部分があるのは仕方ないことなのですが。

このブログでも、「京都 知られざる歴史探検」に収録されている史跡を過去に紹介しています。

主な記事は以下のとおりです。

「京都 知られざる歴史探検」は、京都の史跡めぐりに役立つ書籍だと思います。

私も、この本に掲載されている内容を参考に史跡めぐりをするつもりです。