京都御所の春の特別公開「京都御所 宮廷文化の紹介」・2023年

3月24日に京都市中京区の六角堂に御幸桜を見に行った後、上京区の京都御所を訪れました。

京都御所では、3月24日から28日の期間、「京都御所 宮廷文化の紹介」と題して春の特別公開が行われています。

京都御所は、月曜日以外は通年公開となり、誰でも無料で拝観できますが、かつては、春と秋の特別公開の時に拝観するのが一般的でした。

通年公開になってからも、定期的に特別公開が実施されており、前回、私が拝観したのは2019年春でした。

実に4年ぶりであります。

長谷寺春景図の原本と模写

京都御所には、地下鉄の今出川駅から訪れるのが便利です。

駅を出てから京都御苑に入り、南東に向かって5分ほど歩けば、特別公開の入り口となっている清所門に到着します。

清所門

清所門

清所門では、体温検査と手荷物検査が行われ、その後に入門許可証をいただいて御所内を拝観します。

清所門をくぐって南に少し歩くと、建物の中に修学院離宮の中離宮客殿二の間の襖絵が展示されています。

この襖絵は、狩野敦信が延宝5年(1677年)に描いた長谷寺春景図(はせでらしゅんけいず)です。

襖絵は、原本と模写の2つが展示されていました。

こちらは原本。

長谷寺春景図の原本

長谷寺春景図の原本

そして、模写。

長谷寺春景図の模写

長谷寺春景図の模写

ガラスに光が反射して見えにくいですね。

模写の方が新しいためか、きれいに見えました。

この襖は、後水尾天皇の中宮の東福門院和子(とうふくもんいんまさこ)の女院御所に用いられたものだとか。

東福門院和子は、京都のお寺や神社に多くの建物等を寄進していますね。

ちなみに2018年の台風で倒壊した平野神社の拝殿も、東福門院和子の寄進です。

宮内庁京都事務所では、皇室の文化を永く後世に伝えるため、昭和20年代(1945年-1954年)から御所・離宮の障壁画を模写した建具を複製し、これを建物に設置して、原本は収蔵施設で保存する模写事業を進めているそうです。

貴重な文化財を維持するための重要な事業ですね。

生け花展示

襖絵を見た後は、御車寄(おくるまよせ)、諸大夫(しょだいぶ)の間、新御車寄(しんみくるまよせ)を見て、御所内の一番南の承明門(じょうめいもん)に進みます。

承明門から、紫宸殿(ししんでん)の全体を眺めることができますよ。

紫宸殿を囲む塀の東側では、生け花の展示が行われています。

こちらは、嵯峨御流の「春の御所『桜』」と題した作品です。

嵯峨御流

嵯峨御流

続いて御室流(おむろりゅう)の「和やか」と題した作品です。

御室流

御室流

最後に月輪未生流(つきのわみしょりゅう)の「光明 無辺を照らす」という作品です。

月輪未生流

月輪未生流

生け花は、流派によって違いがあるのがわかりますね。

でも、どの生け花も春を感じられる明るい作品です。

左近の桜

生け花を見た後は、紫宸殿に向かいます。

紫宸殿は、京都御所で最も格式の高い正殿で、即位礼などの重要な儀式が行われました。

紫宸殿

紫宸殿

その紫宸殿の右前に植えられている立派な桜は、左近の桜と呼ばれています。

左近の桜

左近の桜

この日は、5分咲き程度まで咲き進んでいました。

3月28日までには見ごろに入って来そうですね。

紫宸殿の中には、高御座(たかみくら)と御帳台(みちょうだい)があります。

高御座

高御座

高御座は天皇の御座(ぎょざ)、御帳台は皇后の御座です。

どちらも、普段は見られないので、特別公開の期間にしっかりと見ておきましょう。

御学問所の儀式の再現展示

紫宸殿の次は、北の清涼殿に進みます。

そして、御池庭へと向かいます。

御池庭の近くには、小御所と御学問所(おがくもんじょ)の2つの建物があり、その間には、蹴鞠の庭が設けられています。

小御所は、慶応3年(1867年)12月に徳川慶喜の辞官納地を決定した小御所会議が行われたことで有名です。

御学問所は、和歌の会などの文芸の対面などの儀式に用いられた他、御常御殿(おつねごてん)の修理などの際にその代わりになった建物です。

今回の特別公開では、文久2年(1862年)に後に明治天皇となる睦仁親王(むつひとしんのう)のご就学始の儀式「儲君親王御読書始(ちょくんしんのうおとくしょはじめ)」の様子が再現されていました。

建物内には、多くの人形が展示されています。

御学問所の人形

御学問所の人形

儲君親王とは、天皇になるべく定められた親王のことです。

御学問所中段の間では、侍読(じどく)と呼ばれる師範から漢籍の訓読を学んでいる場面が再現されています。

儲君親王御読書始の再現

儲君親王御読書始の再現

上の写真の中央の人形が侍読で、その後ろに睦仁親王の人形があるのですが、撮影した角度が悪く侍読に隠れてしまいました。

御学問所から北に進み、御内庭(ごないてい)と御常御殿に向かいます。

御常御殿の北側では、五色八重散椿がたくさんの花を咲かせていましたよ。

五色八重散椿

五色八重散椿

地面には、花弁も散っており、五色八重散椿らしい姿を見られました。

枝垂れ桜

御常御殿の後は、西に進み御三間(おみま)を見ます。

そして、出口へ向かいます。

出口付近には、多くの枝垂れ桜が植えられており、ちょうど見ごろを迎えていました。

枝垂れ桜

枝垂れ桜

でも、この日は、空が曇っており、きれいな写真を撮ることができませんでした。

御所の建物と紅枝垂れ桜。

建物と桜

建物と桜

こちらの紅枝垂れ桜は、見ごろの最盛期ですね。

紅枝垂れ桜

紅枝垂れ桜

背は低めですが、濃い紅色の花をたくさん咲かせていましたよ。

今回は、通年公開で見られる建物等の説明は省略しましたが、どの建物も宮中文化を感じられるものばかりなので、じっくりと見ておきたいですね。

また、特別公開の期間は、午前10時と11時に雅楽の実演や蹴鞠の実演も行われますよ。

この後は、京都御苑内の桜を見て歩きます。

なお、京都御所の詳細については以下のページを参考にしてみてください。

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