京都市左京区の一乗寺に建つ詩仙堂は、四季折々の景色を楽しめることから、近年は多くの観光客や旅行者の方が訪れるようになっています。
初夏のサツキや秋の紅葉の時期は特に人が多いですね。
詩仙堂が人気なのは、上段の庭と下段の庭から構成された庭園の美しさにあります。
今回の記事では、初夏と秋の写真とともに詩仙堂の庭園を紹介します。
書院前庭
詩仙堂には、叡山電車の一乗寺駅から東に徒歩約10分で到着します。
坂道の途中に小有洞(しょうゆうどう)の門と呼ばれる小さな門があり、ここが詩仙堂の入り口となっています。
門をくぐり進んでいくと拝観受付があるので、拝観料を納めて建物の中に入ります。
詩仙堂は、正式には、凹凸窠(おうとつか)といい、でこぼことした土地に建てた住まいを意味します。
その名のとおり、詩仙堂の境内は起伏に富んでおり、それが四季折々の美しい景色を見せてくれるんですね。
建物内を歩き書院までやって来ると、縁側の南側にきれいに刈り込まれたサツキがいくつか植わった書院前庭が現れます。
この書院前庭が詩仙堂の上段の庭です。
下段の庭に植えられたカエデを借景としているので、初夏は緑色がいっぱいになります。
そして、緑色に混ざってサツキの赤色の花が咲き、その対比がとてもきれいに見えます。
手前の白砂も、カエデの新緑をより鮮やかな緑色に見せてくれています。
晩秋には借景のカエデが赤く色づきます。
書院前庭の奥に見える紅葉は、サツキの刈込との間に空間ができているためか、実際の距離よりも、不思議と遠くに見えます。
こちらは、詩仙の間から見た初夏の上段の庭です。
詩仙の間には、狩野探幽が描いた中国の漢晋唐宋の詩家36人の肖像とともに詩仙堂を創建した石川丈山が讃(さん)を書いた額が、四方の壁にかかっています。
この詩仙の間が、詩仙堂の名の由来です。
晩秋の詩仙の間から見る景色です。
こちらからだと建物の屋根や縁側と一緒に紅葉を眺めることができますよ。
下段の庭
詩仙の間からは外に出ることもできます。
右手にサツキの美しい刈込を見ながら前に進み、石段を下りていきます。
詩仙堂の庭園には、一般的に鹿(しし)おどしと呼ばれる僧都(そうづ)が、草むらの陰にひっそりと配置されています。
水が溜まると竹筒が下に落ちて、水が流れます。
そして、水が流れた後は、竹筒が上を向き、その時後ろ側が石に当たって、カコーンという音が庭園に鳴り響きます。
この僧都の音もまた、観光客に人気ですね。
下段の庭に下りると、百花を配したという百花塢(ひゃっかのう)があります。
季節ごとに様々な花を見ることができますよ。
秋の下段の庭は、紅葉とススキが物悲しい風景を作り出します。
上の写真の紅葉の近くの建物は残月軒と呼ばれるものです。
また秋にはフジバカマも咲き、真っ赤なモミジを背景に見るのも美しいです。
下段の庭は、紅葉の時期は人が多いですが、初夏だと割と人が少なく落ち着いて散策できます。
上段の庭は、書院や詩仙の間に座って、じっくりと眺めたいですね。
下段の庭は、歩きながら鑑賞するので、晴れている日を選んで詩仙堂を訪れたいです。
季節は、やはり初夏のサツキが咲くころと秋の紅葉の時期がおすすめです。
なお、詩仙堂の詳細については以下のページを参考にしてみてください。