4月に京都市右京区の龍安寺(りょうあんじ)に桜を見に行った時、方丈内に展示されていた襖絵を鑑賞しました。
襖絵の特別公開は、2019年1月10日から6月10日までの5ヶ月間です。
特別公開されている襖絵は、群仙図(ぐんせんず)の一部、琴棋書画図(きんきしょがず)の一部、芭蕉図(ばしょうず)です。
今回の記事では、特別公開された襖絵を紹介します。
群仙図と琴棋書画図
龍安寺の最寄り駅は、京福電車の龍安寺駅です。
駅から北に5分ほど歩くと龍安寺の参道に到着します。
市バスだと「竜安寺前」で下車してすぐです。
参道を進み、拝観受付で500円を納めます。
鏡容池を左に見ながらさらに参道を北に進み、石段を上ると庫裡(くり)が建っています。
庫裡の玄関で拝観券を提示し、靴を脱いで中に入ります。
そして、方丈にやって来ました。
方丈の部屋の中には、合計15枚の襖が展示されています。
龍安寺の方丈は、慶長11年(1606年)に織田信包(おだのぶかね)によって建立されたものです。
龍安寺の説明書によると、今回、特別公開されている襖は、もともと、この方丈の中にあったものですが、明治維新の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の影響で、明治28年(1895年)に手放したものだそうです。
方丈内の東側にある群仙図の一部(4面)と琴棋書画図の一部(2面)は、それから115年ぶりに龍安寺に戻ってきました。
どちらも桃山時代の狩野派の絵師の作とのこと。
群仙とは、中国の仙人を数多く描いたもののことです。
一方、琴棋書画とは、琴、棋(碁)、書、画のことで、中国の唐代のはじめ(7-8世紀)頃より、これら四芸が風雅なたしなみとして扱われ、すべてに熟達してこそ、博学多彩な士君子であるとされていたそうです。
群仙図も琴棋書画図も、日本では室町時代以降に屏風絵や襖絵などの大画面の画題に多く用いられてきたのだとか。
芭蕉図
方丈の中央から西にかけて展示されている9枚の襖絵は芭蕉図です。
芭蕉図も、群仙図や琴棋書画図と同じく明治28年に龍安寺から出たのですが、123年ぶりに龍安寺に戻ってきました。
今回の特別公開は、これを記念して行われたものです。
芝垣を背に雄大なバショウを描いた芭蕉図は、方丈内の上間一の間に描かれていたものだそうです。
17世紀初頭に単独でバショウが描かれているのは、珍しく貴重だとのこと。
この芭蕉図は、狩野派の絵師によって制作されたと伝えられていますが、近年の調査により海北派筆との説もあるようです。
今回、特別公開された襖絵は、フラッシュを使わなければ撮影可能です。
龍安寺の方丈の前には、有名な虎の子渡しの庭が配されています。
襖絵と一緒に庭園を眺めるのも良いでしょう。
なお、龍安寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。