3月中旬。
京都市上京区の京都御所を拝観しました。
京都御所は、月曜日やその他の特定の日を除き、通年で拝観できますが、3月12日から21日まで天皇陛下御即位30年記念の特別公開が行われています。
今回の特別公開では、普段は見ることができない御即位に関連した展示などを見ることができますよ。
花車、纛旛、牛車
京都御所の最寄り駅は、地下鉄の丸太町駅もしくは今出川駅です。
どちらの駅からも、出てすぐ京都御苑の塀が見えます。
京都御所は、京都御苑のやや西側にあります。
特別公開の入り口になっている宜秋門(ぎしゅうもん)は、御所の西にあり、ここで手荷物検査を受けて中に入ります。
最初に見るのは、御車寄(おくるまよせ)です。
御車寄には、花車が展示されていました。

花車
この花車は、天皇陛下の御即位30周年を記念するとともに天皇皇后両陛下のご成婚60年を祝して展示されています。
御車寄から南に歩き、諸大夫の間へ。
諸大夫の間では、纛旛(とうばん)が展示されています。
纛旛は、即位の礼、儀式の際に庭上に建てられた竿頭に糸飾りをつけて掛けられる大旛のことです。
大正天皇と昭和天皇の即位の礼では、紫宸殿南庭(ししんでんだんてい)に日像纛旛(にっしょうとうばん)と月像纛旛(げっしょうとうばん)が掛けられたそうで、特別公開されているのは昭和天皇の即位の礼の時のものです。
下の写真に写っているのは、月像纛旛です。

月像纛旛
こちらが日像纛旛。

日像纛旛
諸大夫の間の南側にある新御車寄(しんみくるまよせ)には、牛車(ぎっしゃ)も展示されていましたよ。

牛車
春興殿と紫宸殿
新御車寄からさらに南に進み、建礼門を東へ。
京都御所の敷地内の南東に建つのは、春興殿(しゅんこうでん)です。

春興殿
春興殿は、大正天皇の即位の礼に際し、神鏡を奉安して儀式を行うため、東京の賢所(かしこどころ)に準じて建てられた入母屋造銅板葺の建物です。
この春興殿は、平成29年(2017年)から屋根の葺き替えなどの修復工事が行われていたのですが無事に完成しました。
以前の春興殿は、見るからに老朽化しているなという感じだったのですが、ピカピカに生まれ変わっています。
大正天皇の即位の礼の時も、このような姿をしていたのでしょうか。
日華門の近くには、活花が展示されています。

嵯峨御流の活花
展示されていたのは、嵯峨御流、仁和寺御室流、月輪未生流の活花です。
以前、春と秋の一般公開が実施されていた時は、このように活花が展示されていましたが、通年公開になってからは展示されなくなりました。
特別公開限定で活花を展示するのでしょうか。
日華門をくぐり、紫宸殿(ししんでん)の正面にやって来ました。

紫宸殿
紫宸殿は、京都御所で最も格式の高い正殿です。
紫宸殿の中には、賢聖障子(けんじょうしょうじ)が展示されていました。

賢聖障子
賢聖障子は、中央の一面に獅子、狛犬、負文亀(ふぶんき)が描かれています。
そして、東西四面ずつ計八面に中国の殷から唐の時代までの賢人32名が描かれています。
三国志に登場する諸葛亮も描かれていましたよ。
紫宸殿の北側に建つ清涼殿を見て、再び日華門の近くに戻ってきました。
日華門の北側の宜陽殿(大臣宿所)には、鳳凰・麒麟の図が展示されていました。

鳳凰・麒麟の図
鳳凰・麒麟の図は、明治天皇の即位の礼で使用された御帳台(みちょうだい)の浜床の側面に描かれていたものだそうです。
浜床は、玉座を据えるための方形型の台のことです。
こちらも明治天皇の即位の礼で使用された獅子・狛犬の像です。

獅子・狛犬
天皇の座の前に並んで置かれました。
小御所から御三間
宜陽殿から北に進み、小御所にやって来ました。
小御所には、帽額(もこう)が展示されていました。

帽額
帽額は、即位の礼の際に紫宸殿正面の長押(なげし)の上方に掛けられた幕のことです。
小御所に展示されていた帽額は、大正天皇と昭和天皇の即位の礼で使用されたもので、白地の錦の上に金色の日像を中心に五彩の瑞雲が配されています。
輪郭には、金糸で波線と蝶文が刺繍されていますよ。
小御所の北に建つ御学問所(おがくもんじょ)からは、雅楽が聞こえてきました。

雅楽
この雅楽は、今上陛下(きんじょうへいか/在位中の天皇陛下のこと)の即位の礼における饗宴の儀で演奏されたものです。
御学問所を北に進み、御常御殿(おつねごてん)の前にやって来ました。
御常御殿の前には、御内庭(ごないてい)があり、白梅が見ごろを迎えていましたよ。

白梅
御常御殿の南側では紅梅も満開でした。

紅梅
椿も見ごろですね。

椿
御常御殿の西側の御三間(おみま)では、束帯(そくたい)と十二単(じゅうにひとえ)が展示されています。

束帯・十二単
天皇皇后両陛下も、平成2年の即位礼正殿の儀で束帯と十二単をお召しになりました。
御三間からは出口へ向かいます。
出口の近くには休憩所があり、中では天皇陛下が即位された時の映像が流れていましたよ。
この記事で紹介した以外にも、たくさんの展示が行われていたので、ぜひ、京都御所の特別公開でご覧になってください。
拝観は無料ですよ。
なお、京都御所の詳細については以下のページを参考にしてみてください。