5月中旬に京都市北区の大徳寺内にある興臨院を拝観した後、同じく大徳寺内にある黄梅院(おうばいいん)を訪れました。
黄梅院は、通常非公開ですが春季と秋季に特別公開が行われます。
私が大徳寺を訪れ日は、ちょうど春季の特別公開中だったので拝観していくことに。
参道の新緑
黄梅院は、大徳寺の南門を入ってすぐの場所に建っています。
ちなみに大徳寺は、市バス停「大徳寺前」で下車してすぐです。
黄梅院の表門の前にやってきました。
特別公開中の案内が出ていますね。
拝観料は600円です。
私は、興臨院で黄梅院との共通拝観券を1,000円で購入していたので、それを受付で提示して中に入りました。
表門の先では、カエデの新緑とコケが織りなす黄緑色の空間ができあがっていました。
コケがみずみずしく、潤いのある景観です。
諸堂拝観
黄梅院での写真撮影は、表門を入ってすぐの場所だけが許可されています。
それ以外の場所での写真撮影や動画撮影は禁止です。
なので、ここから先は文章のみで黄梅院の拝観の様子をお伝えします。
黄梅院は、もともとは黄梅庵と呼ばれていました。
永禄5年(1562年)に織田信長が上洛した時、羽柴秀吉を京都所司代に任じて、父の信秀の追善菩提のために小庵の建立を命じました。
それが黄梅院の始まりです。
黄梅院は、中国の黄梅県破頭山東禅寺に由来して名付けられたとのこと。
黄色の梅が植えられているのかと思う方もいらっしゃるでしょうが、黄梅はありません。
なお、黄梅庵から黄梅院に改められたのは、天正17年(1589年)に小早川隆景が改築した時です。
直中庭
順路に従い進んでいくと、建物内に入る玄関が現れます。
ここで靴を脱ぎ中に入ります。
廊下の窓からは、コケが敷かれた庭園が見えます。
カエデも多く植えられており、表門付近と同じく新緑が見事です。
この庭園は、千利休が66歳の時に作った直中庭(じきちゅうてい)です。
書院自休軒の縁側に座って眺めましょう。
庭はどこもコケに覆われていますが、中央付近には瓢箪型の池があります。
とにかく苔と新緑が見事です。
いつまでも縁側に座って見ていられますね。
工事中の本堂
書院自休軒の次は本堂へ進みます。
本堂の前には、枯山水庭園の破頭庭が配されています。
ただ、この日は本堂の屋根が修理中だったため、破頭庭には工事のための足場が組まれていました。
なので、破頭庭はほとんど見ることができませんでした。
でも、本堂の屋根に使われていた天正年間の瓦が庭に並べられているのを見れましたよ。
天正14年だったか17年だったか忘れましたが、その当時から使われてきた瓦です。
破頭庭は見れませんでしたが、天正年間の瓦を見れたのは貴重ですね。
なお、本堂の屋根の修理は平成29年(2017年)9月に完了するということで、瓦葺から檜皮葺になるみたいです。
庫裡から作仏庭へ
本堂の次は庫裡(くり)へ。
庫裡は昔の調理場です。
黄梅院の庫裏は、我が国に残る最古の禅宗寺院の庫裡なのだとか。
庫裡は火を扱う場所だったため、火災が起こりやすく古いものが残るのは珍しいようです。
庫裡の床板は3枚だけ他と違って艶があります。
この3枚は天正年間から使用し続けているものです。
庫裡から本堂の北側へ進みます。
本堂には様々な部屋があり、南側の部屋には雲谷等顔(うんこくとうがん)の竹林七賢図といった水墨壁画が収められています。
また、本堂の北側にも作仏庭(さぶつてい)という庭が設けられています。
作仏庭には、枯山水の滝を表す立石が配され、その流れは南の破頭庭へと続き、生々流転を表しているのではないかと言われています。
本堂の北側から書院の北側へと進み、そして、書院の南側の直中庭へと戻ってきました。
作仏庭から直中庭まで美しい景色が途切れることがなかったので、2つの庭が一体になっているように感じましたよ。
諸堂の拝観を終えて、表門近くに戻ってきました。
直中庭だけでなく、境内のどこを見てもコケが美しいですね。
黄梅院は、写真撮影はできませんでしたが、庭園がとても美しかったので拝観して良かったです。
きっと秋の紅葉もきれいなのでしょうね。
以前、紅葉の時期に大徳寺を訪れ、黄梅院を外から見たことがあるのですが、塀越しでも真っ赤なモミジが見事でした。
なので、直中庭の紅葉も美しいに違いありません。
また、紅葉の時期に拝観したいですね。
なお、黄梅院の詳細については以下のページを参考にしてみてください。