京都市左京区に建つ真如堂は、春の桜や秋の紅葉が有名なお寺です。
そのため、春や秋の行楽シーズンには多くの参拝者で境内がにぎわいます。
お寺でも、それを見越しているのか、参道わきに茶所を設けており、参拝者はここでのんびりと腰かけながら桜や紅葉を観賞できます。
休憩している多くの参拝者の方たちは気づいていないでしょうが、実はこの茶所の仏間には、善光寺黒如来が祀られています。
江戸時代の善光寺如来の出開帳法要
下の写真に写っているのが、真如堂の茶所です。
観光シーズンを外して参拝した時に撮影したので、人は誰もいません。
元禄7年(1694年)の6月下旬から8月30日までの間に真如堂で善光寺如来の出開帳法要が行われました。
善光寺如来は、鎌倉時代から室町時代初期にかけて数体模造されたそうです。
そのうちの一体が出開帳後に真如堂に奉安されたとのこと。
もともとは真如堂の本堂の東側に建てられたお堂に安置されていたそうですが、後に参道わきに建物ごとお移しされたということです。
善光寺は、本堂の修復、宝塔や楼門などの再興のための費用が必要だったため、元禄年間に京都や大坂にも出張して開帳絵縁起講談を行い寄付を集めます。
出開帳は大人気だったようです。
特に江戸深川の回向院、真如堂、大坂四天王寺は、いずれも大盛況で、その時の収入で善光寺の再建が開始されました。
また、出開帳の人出を当てにして「善光寺物」と呼ばれる浄瑠璃の興業なども行われたそうです。
人が集まるところでは、必ず何かしらの商売が行われるのは、今も昔も同じですね。
真如堂の茶所に祀られている善光寺如来が「善光寺黒如来」と呼ばれているのは、そのお姿が黒いからだそうです。
茶所の正面には「善光寺四十八願所 第三十二番 鈴馨山真如堂」と書かれた額が掲げられています。
四十八願とは、阿弥陀仏がまだ法蔵菩薩として修業されていた時に仏になる条件として立てた願とのことで、善光寺四十八願所はそれにちなんで善光寺阿弥陀仏ゆかりの感応の顕著な霊場を48ヶ所選んだものだそうです。
そして、真如堂の善光寺黒如来は三十二番札所となっています。
興味がある方は48ヶ所すべて巡礼してはいかがでしょうか。
参道わきの茶所にも、由緒ある仏像が祀られているのが真如堂の魅力のひとつですね。
なお、真如堂の詳細については以下のページを参考にしてみてください。