11月下旬に京都市右京区の大覚寺に紅葉を見に行った後、祇王寺も拝観しました。
祇王寺は嵯峨野に建つ小さなお寺なのですが、観光や旅行で訪れる人が多いお寺です。
特に秋の紅葉の時期になると、狭い境内がたくさんの人で埋め尽くされます。
もの悲しげな境内
祇王寺は、JR嵯峨嵐山駅から北西に15分ほど歩いた辺りに建っています。
京福電車の嵐山駅からだと、徒歩約10分です。
祇王寺の拝観料は300円で、大覚寺との共通拝観券なら600円です。
大覚寺だけを拝観した場合、拝観料は500円です。
したがって、共通拝観券だとわずか100円の追加で祇王寺にも入れるので、こちらの方が圧倒的にお得です。
大覚寺から歩くこと約20分。
祇王寺の参道の前に到着しました。
細い参道が、小さなお寺であることを物語っています。
拝観受付で、共通拝観券を提示して境内に入ります。
すると、目の前に何とも悲しげな風景が現れました。
祇王寺は、かつて往生院というお寺が建っていました。
往生院は、平安時代末期に平清盛の寵愛を受けた白拍子の祇王が、後に隠棲した地で、平家物語にも登場します。
平清盛の関心は当初は祇王にありましたが、やがて同じ白拍子の仏御前にうつります。
しかし、その仏御前もまた清盛の気持ちが薄れたことで往生院に隠棲しました。
この物語を知っていると、余計に秋の祇王寺がもの悲しく感じます。
真っ赤なモミジはないが情緒はある
祇王寺には、たくさんのカエデが植えられています。
しかし、真っ赤に色づくカエデはほとんどありません。
オレンジ色や黄緑色のモミジが中心で、それがまた情緒を感じさせます。
さらにしんみりとした気分にさせるのが本堂です。
山の中にある小さな庵といった感じの建物で、茅葺屋根に散るモミジが悲しげであります。
本堂の奥に見える紅葉も、真っ赤には色づいていませんね。
本堂には、円窓の吉野窓があります。
影が虹の色に見えることから、虹の窓とも呼ばれています。
その吉野窓から境内を眺めようと思ったのですが、人が多かったため諦めました。
ちなみに本堂内は写真撮影禁止です。
祇王寺の紅葉は、見ごろでしたが、散っているモミジが多かったですね。
地面には、苔のじゅうたんが敷き詰められているのですが、たくさんの散り紅葉で完全に埋め尽くされています。
この景色も、秋の深まりを感じます。
そして、見ているだけで、しんみりとしてきます。
モミジに埋め尽くされていない苔がありました。
緑色がみずみずしくて美しいです。
一通り境内の紅葉を観賞できたので、外に出ることに。
帰り際に見た山門の屋根越しの紅葉も、どこか悲しげでしたよ。
萌え出づるも 枯るるも同じ 野辺の草 いずれか秋に あはではつべき
祇王が、平清盛のもとを去る時に障子に書き残した歌が、秋の祇王寺の風景と調和します。
なお、祇王寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。