毎年、4月29日と11月3日は、京都市伏見区の城南宮で曲水の宴(うたげ)が行われます。
曲水の宴は、平安装束に身を包んだ歌人が、神苑内で和歌を詠む優雅な催しで、その場にいると、まるで平安時代に行ったかのような気分になります。
今回で、曲水の宴を観覧するのは4回目。
天気にも恵まれ、良い観覧日和となりました。
参宴者の登場から水辺着座まで
城南宮は、地下鉄竹田駅から15分ほど南西に歩いた辺りに建っています。
いつもは拝観料が必要な神苑もこの日は無料。
開始1時間前に神苑内の平安の庭に到着したのですが、すでにたくさんの観覧者の方たちで埋め尽くされていました。
今回は立ち見ですね。
午後2時となり、参宴者の登場です。
整列した後、歌人に歌題が発表されます。
歌人は、この時まで、歌題を知りません。
今回の歌題は、「海辺春朝(うみべのはるのあさ)」です。
文久3年(1863年)に孝明天皇が、石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)に行幸されたときに詠んだ歌にちなんだ歌題とのこと。
歌題が発表された後、歌人たちは、サラサラと流れる遣水(やりみず)のそばに移動し、着座します。
流れる羽觴
歌人が着座した後は、白拍子(しらびょうし)の舞が行われます。
白拍子は、平安時代の踊り子で、当時流行った今様と呼ばれる歌に合わせて踊ります。
白拍子の舞は、大体5分くらいですね。
白拍子の舞の後は、羽觴(うしょう)が遣水に流されます。
下の写真の中央に写っている小さな青いものが、その羽觴です。
羽觴は、鳥の形をしており、そこに酒で満たされた杯が置かれています。
最初に流された羽觴は見送り、次に流れてくる羽觴を取って酒を飲み、歌を短冊に書いていきます。
この時、童子が、細長い棒を使って、遣水の羽觴が途中で止まらないようにします。
短冊に書いた歌は、童子に渡されます。
そして、集めた短冊は、白拍子の舞が行われた庭の中央へ。
和歌朗詠
集められた歌は、順番に朗詠者によって詠まれていきます。
平安の庭に朗詠者の声が響き渡ります。
歌人は7人いたので、読まれた歌も7つ。
途中、報道関係者の撮影のためにもう一度、羽觴が遣水に流されます。
テレビや新聞での映像や写真は、この時に撮影されたものが多いですね。
全ての歌が詠まれた後、参宴者たちが、もとの位置に戻り、そして、平安の庭から退場していきます。
これで、約1時間に及ぶ曲水の宴は終了です。
立ち見だったので、少々疲れましたが、雅な時間を過ごすことができましたよ。