京阪電車の墨染駅の改札を出て、西に2分ほど歩くと墨染寺(ぼくせんじ)というお寺に到着します。
墨染寺は、あまり広いお寺ではないのですが、この辺りでは、桜の名所として知られています。
散り始めた墨染桜と満開のソメイヨシノ
墨染寺の入り口は、あまりに周囲の建物に溶け込んでいるので、気付かずに素通りしてしまいそうになります。
なんだか、建物に挟まれて窮屈に見えますね。
山門の左手前には、「墨染櫻寺」と刻まれた石柱があります。
この石柱が示すとおり、墨染寺は桜寺とも呼ばれています。
墨染寺の入り口がとても狭かったので、境内もかなり狭いのではないかと思ったのですが、予想していたよりも広かったです。
境内の桜は、本堂の前に立っている日蓮像を囲むように植えられています。
墨染寺で最も有名な桜は、下の写真に写っている墨染桜(すみぞめざくら)です。
深草の 野辺の桜の 心あらば 今年ばかりは 墨染に咲け
上の歌は、平安時代に藤原基経の死を悲しみ上野峯雄(かみつけのみねお)が詠んだものです。
そして、この歌のとおり、薄墨色の桜の花が咲いたことから墨染桜と名づけられました。
もしかしたら、今も薄墨色の桜の花が咲いているのではないかと思い、墨染桜に近付いて、花を観察してみました。
しかし、どの枝にも薄墨色の花は無く、どれも薄いピンク色をしていました。
やはり、薄墨色に咲いたというのは伝説ということなのでしょうか。
私が墨染寺に訪れたのは、4月中旬だったので、墨染桜は少しずつ散り始めていました。
墨染桜とは異なり、見頃を保っていたのがソメイヨシノです。
さすがにソメイヨシノも風が吹くと花弁が散っていましたが、それでも満開と言っていい状態です。
ソメイヨシノの下は、正に桜色の空間。
参拝者もほとんどおらず、静かに桜を観賞することができました。
大きなお寺や神社に植えられているたくさんの桜を観るのも良いですが、町中にひっそりと建つお寺の桜も趣がありますね。
下の写真はおまけです。
日蓮像の下にいるお皿を持ったタヌキです。
どうやら参拝時は、このお皿にお賽銭を入れるようです。
ちなみに私は、最初タヌキに気付かなかったので、本堂の賽銭箱に入れておきました。
人がたくさん集まる桜の名所ではなく、訪れる人の少ないところで桜を観賞したいという方に墨染寺はおすすめですよ。