京都には、いくつも謎があります。
清水寺や知恩院に伝わる七不思議なんかも、謎と言えば謎ですよね。
なぜ、こんな地名なのか?
なぜ、こんなところに石碑があるのか?
考え出すと、いくつも謎が頭の中に浮かんできます。
歴史を読み解くことが謎の解明につながる
そんな京都の謎をわかりやすく解説しているのが、「京都 地理・地名・地図の謎」という本です。
この本では、以下の章立てで京都の謎を紹介しています。
- 不思議地図
- 新名所案内
- 魔界案内
- 珍名・奇名
- 歴史地図
第1章 不思議地図
第1章では、地図を見ていて不思議に思うことが紹介されています。
住所の表記に「上ル」「下ル」「東入ル」「西入ル」と用いられているが、どういう意味なのかといった京都人にとっては、基本的なことから、東洋のハリウッドとも呼ばれる太秦(うずまさ)で映画撮影所が発展した理由など、京都人でも知らないことがわかりやすく解説されています。
京都の町は南北と東西の通りで区画されているので、碁盤の目状になっていますが、その1ブロックの面積についても詳しく説明されています。
大路の幅は、85メートル、50メートル、36メートル、30メートル、24メートルと決まっており、小路の幅は全て12メートルです。
1ブロックの最小単位は、1町(約120メートル)四方です。
ちなみに三条通と四条通の間の距離は、4町分並んでいるので、これに道路の幅を加えて、540メートルということがわかります。
第2章 新名所案内
第2章は新名所案内ということで、ガイドブックに載っていない京都の名所が紹介されています。
坂本龍馬の墓が京都にあるのは、実は松下幸之助のおかげだったとか、口ひげをはやした楊貴妃が祀られているお寺だとか、確かにガイドブックには載っていない内容がいくつも紹介されています。
また、鞍馬寺と宇宙人との関係についての記述もあるので、なかなか興味深い章となっていますね。
第3章 魔界案内
第3章は、その名のとおり、背筋がひんやりとしてくるミステリースポットの紹介です。
陰陽師(おんみょうじ)で有名な安倍晴明の蘇生伝説を裏付ける証拠がある真如堂や丑の刻参りが行われた貴船神社など、エアコンいらずの夏を過ごすのに持って来いの内容が多く載っています。
とはいえ、ホラー映画のような恐ろしさはないので、怖がりの方でも気軽に読むことができます。
第4章 珍名・奇名
この章では、変わった地名がいくつか紹介されています。
一口と書いて「いもあらい」と読むのはなぜなのか?
天使突抜という地名が付いたのは豊臣秀吉が原因だった?
蹴上は、源義経の残酷な行為から名付けられた?
などなど、今まで知らなかった地名の由来がわかりやすく解説されています。
第5章 歴史地図
終章となる第5章は、京都の地形を紹介しているといった感じになっています。
天橋立ができるのに3500年かかっていることや人の上を流れる天井川が京都に多い理由などが解説されています。
京都にも火山があったということは、この章を読んで初めて知りましたね。
「京都 地理・地名・地図の謎」の大まかな内容は上記のとおりです。
どの内容も京都の歴史と深いかかわりを持っているものばかりで、やはり、歴史を知ることで、より京都を楽しむことができるということが確認できました。
この本は、基本的にどの項目も2ページで紹介されているので、ちょっと時間がある時に読み進んでいくことができ、また、ページ数も200弱と少なめなので、読むのが苦痛になりませんね。
ただ、残念なところがひとつあります。
それは、地図が載っていないことです。
京都に住んでいる人や京都に詳しい人なら、紹介されている内容が、どの場所なのかすぐにわかりますが、あまり京都に詳しくない人が読むと、どこのことなのかわからないでしょう。
でも、簡単な読み物となっているので、地理に明るくなくても、十分に楽しむことはできますよ。
なお、上記の本で紹介されている内容については、当ブログでも過去にいくつか紹介していますので、参考にしてみてください。