京都市右京区の龍安寺の方丈の前には石庭が配されています。
この石庭は、白砂の波紋と15個の石からなり、虎の子渡しの庭や七五三の庭などと呼ばれています。
石庭に置かれた15個の石は、どんなに頑張っても14個までしか同時に見ることができないと言われています。
実際のところは、どうなんでしょうか。
これは、石庭を見に行って、石を数えてくるしか確かようがありません。
石の配置
龍安寺の石庭を拝観するには、庫裡(くり)で靴を脱いで方丈に向かいます。
庫裡と方丈の間に目の不自由な方のためにミニ石庭が置かれているので、これで、まず石の配置を確認します。
石は、西に1群、中央に1群、東に3群あります。
それぞれの石の数は、以下のとおりです。
- 西=5個
- 中央=2個
- 東奥=2個
- 東中=3個
- 東手前=3個
東西から石庭の石を数える
それでは、石庭の石を数えてみましょう。
まずは、西側から石庭を眺めます。
西の5個は、4個しか見えません。
中央の2個は、全部見えます。
東の3群になると、2個ずつしかわからないですね。
ということで、ここからだと12個しか見えません。
では、東側から石庭を見てみましょう。
写真だと、東側の3群のうち2群が写りません。
でも、肉眼だと東の石は全て見えます。
中央の2個も見えます。
でも、西の5個については大きな石が邪魔して、その奥に置かれた石が見えません。
したがって、西は4個しか見えないので、合計14個を同時に見られます。
正面から石庭を撮影すると、庭全体を写せません。
そして、正面からだと、東の手前の石が1個見えませんから、15個を同時に見ることはできません。
それなら、西側から、まっすぐ東を向くようにして石庭を見たら、15個の石が見えるでしょうか。
やはり、東手前の石が2個しか見えないので、15個の石を同時に見ることはできませんね。
なぜ15個の石を同時に見られないのか
ところで、龍安寺の石庭は、なぜ、このような造りになっているのでしょうか。
作者が不明なので、石庭の造形の意図は想像するしかありません。
以前に紹介した書籍「京都 地理・地名・地図の謎」では、龍安寺石庭の造形の意図について、よく言われている説が紹介されています。
- 中国の庭園様式を模して造られており、中国の山海を表している。白砂は大海、15個の石は島や山を表す。
- 白砂は宇宙を表現し、石は北斗七星を表している。
- 中国の思想では、15は十五夜に結び付き、完全を意味するが、物事は完成した時点から崩壊が始まると考えられており、15にひとつ足りない14個の石しか見えないようになっている。
いずれの説が正しいのか、別の意図があったのかはわかりませんが、石庭の15個の石は、どうやっても全て見えないように工夫したのでしょうね。
そもそも石は15個あるのか
15個の石を同時に見ることができないと、そもそも石庭に15個の石が置かれていないのではないかと疑いたくなります。
ということで、角度を変えながら、5群すべての石を数えてみることにしました。
西側の石は、すぐに4つ数えることができます。
残りひとつは、大きな石の右下の白砂の近くに白く見えています。
なので、西側には5個の石が、しっかりと置かれています。
中央の石群には、2個の石が置かれていることになっています。
枝垂れ桜の真下に確かに2個の石が見えます。
東の3群は、奥が2個、中が3個、手前が3個の配置です。
奥の2個、中の3個は、すぐに見つけられます。
手前の3個は、ちょっと難しいですね。
大きな石が1個とその左側に1個見えます。
もう1個は、大きな石の右側にコケに埋まるように置かれています。
したがって、東の3群の石の合計は8個です。
ということは、西が5個、中央が2個、東が8個なので、合計15個となりますね。
確かに15個の石が石庭に置かれています。
以前、龍安寺を拝観した時に修学旅行生を案内していたタクシー運転手の方が、「凡人には15個の石が同時に見えない」とおっしゃっていました。
もしかして、15個の石を同時に見る方法があるのでしょうか。
真上から見る以外に思いつきませんね。
なお、龍安寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。