お寺などの庭園は、春の桜の時期や秋の紅葉の時期が美しいので、この時期に拝観するのがおすすめです。
しかし、春や秋の庭園が美しいと感じるのは、寒い冬を越え、暑い夏を過ぎたからではないでしょうか。
特に冬は、木々の葉が落ちて殺風景になってしまうため、春に花が咲くと、庭園がより鮮やかにより美しく見えるのだと思います。
なので、一度冬に庭園を拝観しておくと、春の庭園拝観をより楽しむことができるのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、遠い春を待つ、冬枯れの青蓮院(しょうれんいん)の庭園を紹介したいと思います。
やはり寂しさを感じる冬の庭園
青蓮院は、諸堂を拝観した後に庭園を散策することができます。
玄関で靴を履き、頭をぶつけてしまいそうな低い門をくぐると、目の前に庭園が広がっていました。
庭園は、北東の霧島の庭と南東の相阿弥の庭があります。
まずは、相阿弥の庭へ。
龍心池(りゅうしんち)と呼ばれる池の右側に跨龍橋(こりゅうのはし)と呼ばれ石橋が架かっています。
中央の大きな石は、あたかも沐浴する龍の背中が水面に見えるような感じに置かれたものだそうです。
この大きな石の奥には、洗心滝(せんしんのたき)と呼ばれる滝があります。
冬ということもありますが、この日は曇っていたため、相阿弥の庭はもの悲しく見えました。
相阿弥の庭の次は、北に移動し、霧島の庭へ。
葉が落ちた木が多く、ツツジも冬ならではのやや茶色っぽい色をしていますね。
相阿弥の庭と同じく寂しさを感じさせます。
霧島の庭は、その名の通り、霧島ツツジが植えられていて、春になると真っ赤に染まります。
春の霧島ツツジについては、「MEMORY OF KYOTOLIFE」さんの青蓮院門跡(春のライトアップ)(前編)の記事に写真が掲載されていますので、ご覧になってください。
霧島の庭を観た後は、東にそびえる粟田山に登っていきます。
登ると言っても、中腹までですが。
青蓮院境内から登れる一番上まで行くと日吉社という小さな神社が建っています。
由緒書の文字が読みにくく、どういった神社なのかはよくわかりませんでした。
とりあえず、お参りをしておきましょう。
昼と夜の風景
日吉社が建っているあたりからは、京都の街を眺めることができます。
北東を向いているので、遠くに見えるのは北区と右京区でしょう。
ちなみに青蓮院には、以前、3月の東山花灯路の時にも訪れたことがあり、同じ場所から夜景の写真も撮っていました。
建物の屋根の光線が眩しい。
粟田山から下りた後は、境内の南の宸殿(しんでん)へ。
宸殿の前には、苔の庭があり、右には左近の桜、左には右近の橘が植えられています。
さすがに桜は、枝だけとなっています。
こんな状態でも春になるとたくさんの花をつけるのですから、不思議なものです。
地面の苔には、水玉が乗っています。
この日は、パラパラと雨が降ったので、苔に水が残ったのでしょう。
冬でも苔はみずみずしい。
夜間拝観の時は、苔の庭に「亥」のような「寿」のような変わった文字が映し出されます。
この文字は、「ボロン」というそうで、本尊の熾盛光如来(しじょうこうにょらい)を表す梵字だとか。
ボロンの文字は、常に光っているのではなく、一定間隔で光ったり消えたりしていました。
境内の南西の角には、鐘楼があります。
多くのお寺では、鐘楼をつくことは禁止されているのですが、青蓮院ではつかせていただけます。
もちろん私もついてみました。
ゴーーーン・・・・・。
余韻がなんとも心地良いです。
鐘楼をついた後は、出口に向かいます。
その途中に四脚門(よつあしもん)と呼ばれる門が建っています。
四脚門は、ライトアップの時に4本のレーザー光線が天に向けられます。
夜空を見上げると4本のレーザー光線が空中でひとつに交わっているように見えました。
やはり、冬の庭園は物足りないですね。
しかし、冬の庭園を拝観しておいたので、春になったらより楽しめそうです。
なお、諸堂の拝観については、以下の記事で紹介していますので、あわせてご覧になってください。