祇園という地名を聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
京都の花街であるとか、舞妓さんがいるとか、お金持ちが遊びに行くところとか、そういった遊興の場所といった印象がありますよね。
京都観光で東山に訪れた時も、休憩は祇園のお店を選ぶことが多いのではないでしょうか。
ところで、祇園という地名はなぜ付いたかご存知ですか。
実は、祇園の名は、現代人が抱いている印象とは全く違った意味で付けられたんですよね。
祇園社の門前町
祇園は、祇園社があったことから、その門前町として名付けられたと伝えられています。
祇園社なんて神社は知らないという方もいらっしゃるでしょうが、現在の八坂神社が昔は祇園社と呼ばれていたのです。
それが、明治時代の神仏分離によって八坂神社と改称されました。
では、祇園社は、なぜそのような名が付いたのでしょうか。
祇園社、つまり現在の八坂神社に祀られている祭神は、素戔嗚尊(すさのおのみこと)です。
素戔嗚尊は牛頭天王(ごずてんのう)と同体とされています。
牛頭天王は、インドの祇園精舎の守護神です。
祇園精舎は、悟りを開いたお釈迦さまが説法を行った場所であり、弟子たちの仏道修行の場でもありました。
牛頭天王をこの地に祀ったのは、朝鮮半島の高句麗からやってきた伊利之(いりし)と伝えられており、これが祇園社の始まりだと言われています。
社名が祇園社になったのは、祇園精舎と関係があることは容易に想像できるでしょう。
祇園社の名の由来を知ると、祇園に遊びに行くのは、なんか不浄な気がしてきます。
でも、そんなに神経質にならず東山散策の際は、祇園に立ち寄って気軽にお茶を飲んでも良いでしょう。
また、11月になると祇園白川のかにかくに碑が置かれている辺りで、かにかくに祭が行われます。
かにかくに祭では、本物の舞妓さんを見れるとあって、多くの写真愛好家の方が大きなカメラを持って参列しています。
ついでに八坂の地名の由来についても紹介しておきます。
八坂と呼ばれている地域は、坂がとても多いところです。
だから、八坂なんですね。何とも単純な地名の付け方です。
昔から「八」の字は多いという意味をあらわすために用いられてきました。
八百万(やおよろず)の神、八百屋、八百八町などに使われている「八」は、どれも数が多いという意味になっています。
古代、この地に土着した豪族に八坂氏がいます。
八坂氏も高句麗からやってきた渡来人です。
伊利之が、祇園に牛頭天王を祀ったのも、同郷の八坂氏がこの地に住みついていたのと関係があるのでしょうね。
なお、八坂神社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。