京都市上京区の堀川に一条戻橋という橋が架かっています。
この橋には、様々な伝説があります。
有名なところでは、平安時代に文章博士であった三好清行(みよしきよつら)の葬儀の行列が、戻橋を渡っているときにその子の浄蔵が紀州熊野から帰ってきて棺に泣きすがっていると、清行が一時的に蘇生して父子の対面が実現したというものがあります。
戻橋という名は、この言い伝えが由来になって付けられたものだと言われていますね。
婚約が決まった人や結婚する人は通ってはいけない
戻橋は、かつて処刑された人の首が晒される場所でもありました。
また、処刑が決まった人々が市中を引き回される際、通ったのが戻橋でもありました。
市中引き回しの途中、罪人は戻橋の上で花と餅を供えることが許されていましたが、これは、処刑後に蘇生を願う儀式として行われていたそうです。
おそらく、三好清行の蘇生伝説からこのような儀式が生まれたのでしょうね。
また、戦地に赴く兵士たちが再び生きて戻って来れるようにと戻橋を渡ったとも伝えられています。
亡くなった最愛の人に戻ってきてほしい、再び生きて帰ってきたい、そういった願いを持った人々が過去に何人もこの橋に祈りを捧げたり、渡ったりしたことでしょう。
でも、帰ってきて欲しくない人には、戻橋を渡らせてはいけません。
帰ってきて欲しくない人なんて言うと、仲の悪い人のことを想像してしまいそうですが、他に縁談が決まった人や結婚の行列もこの橋を渡ってはいけません。
そんなことをすると破談になったり、離婚したりといったことが起こるかもしれません。
結婚に際して、「戻る」という言葉は縁起でもないですからね。
だから、昔から婚約した人は戻橋を渡らないようにしていたそうです。
一条戻橋の近くには晴明神社が建っています。
晴明神社は、平安時代の陰陽師(おんみょうじ)の安倍晴明を祀っています。
近年、陰陽師や日本史に興味がある方が、たくさん参拝するようになり、神社の境内にしては賑やかな日が多いですね。
鳥居の近くには、以前の戻橋が展示されているので、参拝時には見ておくと良いでしょう。
おそらく、晴明神社に参拝された方は、一条戻橋も見に行ってるでしょうね。
そして、また晴明神社に参拝に来れるようにと、戻橋を渡っているのではないでしょうか。
京都旅行で楽しい思い出を作った方も戻橋を渡っておけば、再び楽しい京都観光ができるかもしれませんよ。
なお、晴明神社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。