京都市伏見区と聞いて、連想するものってなんでしょうか?
伏見稲荷大社、伏見桃山城、酒蔵、寺田屋なんかは、伏見の名所として割と有名なので、多くの人が、これらをすぐに思いつくことでしょう。
でも、京都通の方や鉄道ファンの方なら、もしかすると京阪電車の中書島駅を真っ先に連想するかもしれませんね。
日本最初の市電の駅
中書島駅は、知る人ぞ知る日本最初の市電であった伏見線の駅でした。
もちろん現在の建物は当時のものとは違い、とてもきれいです。
中書島駅にある説明書によると、伏見線は、明治28年(1895年)に塩小路東洞院から油掛町間を結ぶ路面電車として開通したとのこと。
その後、大正3年(1914年)3月31日と同年8月25日に延長部分が開通して中書島に達したそうです。
伏見線は、もともと京都電気鉄道株式会社によって運営されており、明治38年には勧進橋から稲荷間を結ぶ稲荷線も開通しましたが、大正7年7月1日に京都市が買収し、市電として再出発しています。
日本で最も古い路面電車ということ、酒蔵の並ぶ風格のある街並み走っていたことから、人気があったみたいですよ。
日本最初の新婚旅行の出発地
中書島駅の改札には、坂本竜馬の像があります。
像と言っても銅像のような立派なものではなく、薄い板に写真が貼られたものなのですが。
坂本竜馬は、伏見の寺田屋を京都での活動の拠点としていました。
その寺田屋は、中書島駅から徒歩10分程度の場所にあります。
慶応2年(1866年)に幕府の捕り方に襲撃され、手に大けがを負ったのも寺田屋です。
その後、薩摩藩の屋敷に匿われた坂本竜馬は、傷を癒すために妻となったばかりのお竜とともに三十石舟に乗って淀川を下り、薩摩の霧島へと旅立ちました。
これが日本最初の新婚旅行だといわれています。
そして、その出発地点が、ここ中書島駅がある伏見だったんですね。
酒の町
中書島駅の近くには、月桂冠や黄桜などの酒造メーカーの酒蔵が建ち並んでいます。
お酒好きの方ならご存知のように伏見は、日本有数の名酒の町なんですよね。
それを象徴するかのように中書島駅には、酒樽がピラミッド状に積まれています。
伏見が銘酒の町として栄えるようになったのは、昔から良質な地下水が湧き出る地だったこともありますが、天下を統一した豊臣秀吉が、この地に伏見城を築城してからのことです。
全国から集められた大勢の大工や職人の数と比例するように、消費されるお酒と酒蔵の数も増加していったそうです。
江戸時代前期には、酒造業者の数が83に達し、1万5千石あまりの醸造量を誇ったとのこと。
今でも、江戸時代から続く酒蔵が建っており、中書島駅周辺はその当時の面影をいたるところに残しています。
京都に旅行や観光で訪れる方は、あまり伏見観光をされないように思います。
でも、伏見は歴史的名所、風情ある景観がたくさんある地域なので、一度は訪れていただきたいですね。