京都市東山区の清水寺は、京都で最も多くの観光客が訪れる寺院として知られています。
清水寺で特に人気があるのが、清水の舞台で知られる本堂です。
「清水の舞台から飛び降りる」という言葉がありますが、その清水の舞台が清水寺の本堂ですね。
今回は、観光客に人気の清水の舞台を紹介します。
現在の本堂は江戸時代に再建されたもの
清水寺の最寄り駅は、京阪電車の清水五条駅です。
駅からは、東に徒歩約20分です。
市バスだと「清水道」から東に徒歩約10分です。
下の写真に写っているのが清水寺の本堂です。
下に何本もある柱に支えられて本堂が建っており、まるで宙に浮いるかのように見えます。
清水寺の創建は、平安遷都(794年)と同じ時期で、坂上田村麻呂夫婦の寄進によります。
そして、現在の本堂は、寛永10年(1633年)に徳川幕府3代将軍の徳川家光の寄進により再建されたもので、欄干親柱の金銅製宝珠に「寛永拾歳」の刻銘が見られます。
桧皮葺、寄棟造の屋根には、東、北、西に裳階(もこし)と呼ばれる飾りの屋根が設けられています。
上の写真の屋根の右側が2段になっていますが、下の部分が裳階です。
裳階があるため、外から見ると、まるで2階建てのように見えますが、堂内は1階だけしかありません。
ちなみに裳階には、雨除けとしての役割もあります。
南向きに建つ本堂は、正面十一間36メートル強、奥行き九間30メートル強、棟高18メートルの規模があります。
堂内は、外陣(げじん)、内陣、内々陣に分かれ、最奥の内々陣の大須弥壇の上には、清水型観音と呼ばれる清水寺独特の姿をした本尊の十一面千手観音が祀られています。
脇侍の地蔵菩薩と毘沙門天を合わせた三尊は、国宝に指定された秘仏で、33年ごとに開帳されます。
また、千手観音を守護する二十八部衆、風神、雷神も堂内に安置されています。
参拝者は、本堂に上がれますが、外陣の礼堂(らいどう)でお参りをします。
舞台の構造
本堂の南側に設けられた舞台は、間口が約18メートル、奥行きが約10メートルあります。
舞台には、長さ5.5メートル、幅30~60cm、厚さ10cmの桧板が敷き詰められており、20年から30年ごとに張り替えられます。
この舞台から眺める景色は絶景なのですが、本来、舞台はそのように見るものではなく、本堂に祀られている千手観音に向かって舞楽を奉納するためのものです。
したがって、舞台から本堂を見るのが本来のあり方と言えます。
清水寺では、重要な法要には、舞楽、芸能などを奉納します。
楽人たちは、東西に設けられた翼廊の楽舎に詰めます。
本堂は前半分が、崖にせり出すように建てられ、何本もの欅(けやき)の柱で支えられる構造になっています。
このような構造を舞台造や懸造(かけづくり)といい、京都では、他にも狸谷山不動院で見ることができます。
舞台の下には礎石があり、欅の支柱の土台となっています。
支柱と支柱の間には、それらを横につなぐための貫(ぬき)と呼ばれる木材が何本を通されています。
そして、支柱と貫の接合部を固定するために木でできた三角形の楔(くさび)が打ち込まれています。
もしも、楔の代わりに釘を使うと、そのサビが木材を腐食させてしまいます。
だから、支柱と貫の接合部には、一切釘が使われていません。
さて、清水の舞台に上がった時は、やはり、眼下に広がる錦雲渓(きんうんけい)を眺めたくなります。
南向きなので、逆光となり、写真撮影が難しいですが、この景色はぜひとも肉眼で見てほしいですね。
また、西に目をやると京都タワーも遠くに望むことができます。
お寺の本堂は、お参りをするところですが、清水寺の本堂に立つと、どうしても外の風景を眺めたくなります。
それが人の性というものでしょう。
舞台を支える欅の柱を見ると、なんだか心もとなく感じるかもしれませんが、しっかりと支えられていますから、安心して清水の舞台に出て景色を楽しめますよ。
なお、清水寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。