京都市右京区の嵯峨野は、京都市内でも自然の景色が美しい地域です。
小倉山、大堰川(おおいがわ)の対岸に見える嵐山、そして竹林。
これらは嵯峨野特有の自然の景色ですね。
嵯峨野の竹林の近くに建つ野宮神社(ののみやじんじゃ)の境内も、この辺りの風景に馴染んでおり、旅行者や観光客の方にとても人気があります。
コケの庭に置かれた村山古郷の句碑
野宮神社の最寄り駅は、京福電車の嵐山駅です。
駅からは西に徒歩約5分ですね。
JR嵯峨嵐山駅からだと徒歩約15分です。
野宮神社は、縁結びの社として知られているためか、境内では女性の参拝者の姿をよく見かけます。
修学旅行で訪れたと思われる学生さんも多いですね。
野宮神社の境内には、真っ青なコケが敷き詰められた庭があります。
このコケの庭は、何とも目に優しい緑色で、パソコンや携帯電話で細かい字を読むことが多い現代人にとっては良い目の保養になるはず。
野宮神社境内でも、とても人気のある場所です。
コケの庭の一角には、村山古郷(むらやまこきょう)の句碑も置かれています。
石の平面の部分の真ん中には以下の俳句が刻まれています。
野宮の 竹美しや 春しぐれ
野宮神社付近の景色にピッタリの俳句であります。
野宮神社にある嵯峨野俳句会の説明書によると、村山古郷は、明治42年(1909年)に京都に生まれ、幼い時から兄の葵郷(ききょう)に俳句を学んでいたそうです。
村山古郷は、上京後に内田百けん(うちだひゃっけん)に師事し、大須賀乙字(おおすがおつじ)系「草上」、「東炎」、同人を経て戦後に「べんがら」を主宰したとのこと。
ちなみに内田百けんの「けん」は、漢字で書くと門構えに月ですが、当ブログでは「けん」を漢字に変換すると表示が「?」になるので平仮名にしています。
その後、村山古郷は、社団法人俳人協会理事や鴨立庵第20世庵主もつとめ、嵯峨野も主宰しました。
句集には、「軒」、「西京」、「金閣」、「古京」があり、その他に著書もあります。
昭和53年(1977年)に芸術選奨文部大臣賞受賞、同60年には俳句における功績により勲四等を受けています。
嵯峨野俳句会の説明書が野宮神社に設置されたのは昭和61年4月6日とのことですから、おそらく村山古郷の句碑もこの日に置かれたのでしょう。
なお、村山古郷は、この説明書が設置された年の8月1日に亡くなっています。
野宮神社にある村山古郷の句碑に刻まれている俳句を読むだけで、真っ青な竹が何本も天高く伸びている嵯峨野の竹林の風景を思い出しますね。
野宮神社に参拝した後は、近くの竹林の小路ものんびりと歩くことをおすすめします。
なお、野宮神社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。