5月中旬に京都市東山区の建仁寺を訪れました。
建仁寺では、本坊、方丈、法堂(はっとう)の拝観ができ、前回の記事では庭園を中心に紹介しました。
今回は、建物内に展示されていた襖絵などを紹介します。
風神雷神図屏風
建仁寺の最寄り駅は、京阪電車の祇園四条駅です。
駅から南東に5分ほど歩くと建仁寺に到着します。
本坊は、境内の北側にあるので、そこの玄関で靴を脱ぎ拝観受付で500円を納めると建物内を拝観できます。
拝観受付からすぐの部屋では、風神雷神図屏風が展示されていました。
風神雷神図屏風は、江戸時代の芸術家俵屋宗達の代表作です。
右側が風神、左側が雷神ですね。
有名な屏風なので、テレビなどで見たことがある方も多いと思います。
そんな有名な屏風を間近で見せていただけるのですから、建仁寺は太っ腹な寺院ですね。
とは言え、建仁寺に展示されている屏風や襖絵などは、デジタル複製されたものなので本物ではありません。
それでも、きれいに複製されていますから、十分に満足できますよ。
ちなみに技術協力しているのはキャノン株式会社です。
それにしても、薄暗い部屋でライトが当たった風神雷神図屏風は、金色の輝きがより美しく見えますね。
風神雷神図屏風の近くには、「風神雷神」と漢字で書かれた屏風も展示されていました。
この屏風は書家の金澤翔子さんの作品です。
文字の配置が、俵屋宗達の風神雷神図屏風と同じですね。
漢字なのに風神と雷神の雰囲気が伝わってきます。
建物内の襖絵には、芸術家の鳥羽美花さんの作品もあります。
黒色と白色だけで表現された襖絵は、禅寺でよく見る枯山水庭園と雰囲気が似ています。
大きな円窓がある廊下を通って書院へ向かいます。
こちらの襖にも鳥羽美花さんの作品が使われていました。
作品名は「凪」と「舟出」とのこと。
奥の襖絵が「舟出」で、手前の襖絵が「凪」のようです。
でも、8枚の襖がつながってひとつの絵となっていますから、作品間の境界線がない感じです。
雲龍図
順路に従って進みます。
方丈には、海北友松(かいほうゆうしょう)の襖絵がたくさん展示されています。
ちなみに海北友松の襖絵もデジタル複製されたものです。
下の写真に写っているのは、建仁寺方丈障壁画50面のうち、書院を飾る8面の襖絵「花鳥図襖」です。
禅寺らしい落ち着きのある襖絵です。
こちらも海北友松の作品「琴棋書画図襖(きんきしょがずふすま)」です。
長い画面中に主題に関わる画面を中心部に集め両端に空間が広がっているのが、狩野派的構図からすると異例なのだとか。
確かに先ほどの花鳥図と比較すると、1ヶ所に絵が集中していますね。
方丈の南東の部屋に展示されている雲龍図襖です。
これも海北友松の作品です。
龍の大きな顔が、とても迫力があります。
2頭の龍が襖全体を泳ぐように飛び回っているようであります。
法堂の双龍図
方丈の次は法堂に向かいます。
法堂の中に入るのは、今回が初めてです。
法堂内の正面には須弥壇が築かれ本尊の釈迦如来座像が祀られています。
また、脇侍に迦葉(かしょう)・阿難尊者立像も安置されています。
そして、天井には、小泉淳作画伯が描いた大きな大きな双龍図。
建仁寺開創800年を記念して、平成14年(2002年)に描かれた天井画です。
通常の雲龍図は大宇宙を表す円相の中に龍が1匹だけ描かれることが多いのですが、建仁寺の法堂の双龍図は阿吽(あうん)の龍が天井一杯に絡み合う躍動的な構図が用いられているのが特徴的です。
禅寺の法堂には、よく龍の絵が描かれていますが、確かに1匹だけのことが多いですね。
さて、天井に龍が描かれている法堂の中に入ったので、ここで柏手を1回パンと叩きます。
他の参拝者の方が怪訝そうにこちらを見てきましたが、これには、ちゃんとした意味があるのです。
龍が天井に描かれている法堂内で柏手を打つと、龍が吠えることがあります。
俗に「鳴き龍」と呼ばれており、大徳寺や相国寺の法堂では、柏手の後に「グルルル」という声が聞こえてきます。
だから、建仁寺の法堂の龍も鳴き龍かどうか確かめるために柏手をひとつ打ったわけであります。
しかし、龍は口を閉じて黙ったまま。
どうやら建仁寺の龍は鳴き龍ではなかったようです。
建仁寺は、庭園を拝観できたり、襖絵などの展示物をたくさん鑑賞できたりと、見るべきものが盛りだくさんの禅寺です。
拝観終了後はお腹いっぱいといった感じで、大満足でした。
寺院拝観では室内の展示物の写真撮影が禁止されていることが多いのですが、建仁寺は室内の写真撮影も可能ですよ。
なお、建仁寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。