京都府八幡市の京阪八幡市駅近くを流れる放生川に安居橋(あんごばし)という反り橋が架かっています。
なかなか風情があって、安居橋を渡っていると、まるで江戸時代の町を歩いているような気分になるんですよね。
安居橋は、2013年に修理が行われ、以前よりも明るい色に変身しています。
以前の橋は風雨にされされて、色が黒っぽくなっていたので、新しくなった姿は、とても新鮮です。
安居橋の名の由来
安居橋の前には、味のある石柱が立っています。
安居橋の名の由来には諸説あります。
鎌倉時代から八幡で行われていた安居神事から名付けられたとも言われていますし、以前に川下にあった五位橋に相対する仮の橋として架けられたことから相五位橋(あいごいばし)と呼ばれ、それが変化し安居橋と呼ばれるようになったとも言われています。
安居橋の近くには、「やわた放生の景」と刻まれた石碑が置かれています。
安居橋の月は、元禄7年(1694年)に八幡八景のひとつとして選ばれており、数々の歌が詠まれたそうです。
太鼓橋の名でも親しまれる
安居橋は、地元では太鼓橋の名でも呼ばれています。
慶応4年(1868年)の鳥羽伏見の戦いで安居橋は焼失しました。
その後、ここから150メートルほど川下に架かっていた高橋が反り橋(太鼓橋)であったことから、その姿をしのばせる形で再興されたということです。
地元で太鼓橋と呼ばれているのは、これが理由なのでしょう。
安居橋付近には、能連法師の歌碑も置かれています。
歌碑には、以下の歌が刻まれています。
石清水 清き流れの 絶えせねば やどる月さえ 隈なかりけり
この歌は、能蓮法師が文治元年(1185年)に石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)の歌合せにおいて詠んだもので、千載和歌集にも収録されています。
歌碑は、やわた文学碑建立事業の第4基目として、昭和62年(1987年)の中秋の名月の日(10月7日)に除幕したということです。
満月が安居橋の下を流れる放生川に映る姿は情緒がありそうですね。
安居橋の辺りは、春になると、ソメイヨシノや枝垂れ桜がたくさん花を咲かせることで知られています。
安居橋を渡りながら桜を見ると、とても風情がありますよ。
また、安居橋の近くには石清水八幡宮の参道があるので、そこまで足を延ばして、お花見するのもおすすめです。
ただ、参道は長い石段となっているので、体力に自信がない方は、八幡市駅からケーブルに乗った方がいいですね。
春になったら、ぜひ、八幡市の安居橋周辺に桜を見に訪れてください。