2011年7月から9月末まで、京都では、「京の夏の旅」というキャンペーンが行われています。
このキャンペーンでは、文化財の特別公開が行われており、その中のひとつの並河家住宅を拝観してきました。
七宝の拝観
並河家住宅は、明治時代の七宝家(しっぽうか)の並河靖之の邸宅です。
場所は、地下鉄東山駅から北に少し歩いた辺りです。
建物の入り口付近は、馬をつなぐ駒寄せで、2階には虫籠窓があります。
こういった外観は、京町家の特色だとか。
建物内は、並河靖之記念館となっていて、壷や皿など、数々の靖之の作品が展示されています。
それらに描かれている絵は、有線七宝という技法を使って描かれています。
コップくらいの大きさの壺に藤の花などが細かく描かれており、一目見ただけで、難易度の高さがわかります。
記念館のガイドの方の話によると、並河靖之の技術は一代限りのもので、後継者はおらず、現在、同じ作品を造れる人はいないそうです。
ちなみに展示物の撮影は禁止されていたので、写真はありません。
庭園の拝観
七宝を拝観した後は、庭園の拝観です。
庭園は写真撮影ができたので、ここからは写真を交えながら紹介していきます。
並河家住宅の庭園は、琵琶湖疎水から引いた水で池が造られています。
拝観案内によると、そもそも園池に水を引いたのは、七宝の研磨のためで、これを作庭家の7代目小川治兵衛が庭園の池に用いたそうです。
庭園の入り口付近には、一文字手水鉢が置かれています。
この手水鉢は、鞍馬石製で、地面に直接置いていないのが特徴です。
庭園を散策していると、円い石が地面にありました。
この石は、踏分石といって、寺社の礎石風の趣向をこらしたものだそうです。
建物の入り口付近にある沓脱石は、膳所城(ぜぜじょう)で使用していたやぐら石と伝えられています。
さらにもうひつ石を紹介しておきます。
建物を支えている柱の1本が、池に建っていますが、それを支えているのが下の写真に写っている亀石です。
不安定そうに見えますが、しっかりと支えられているようですね。
建物には、庭園を眺めることができる応接室が2間あります。
池に近い方は、地べたに座る応接間で、池から遠い方はイスに座る応接間となっています。
上の写真ではわかりにくいですが、座敷の方とイス式の方では、座る人の目線が異なることから、ガラスの高さが違っています。
建物の造りをもうひとつ紹介しておきます。
池の近くにある欄干は、修学院の中の茶屋の網干欄干を模したものだとか。手すりが低いのがその特徴です。
池を眺めていると、首を長くした亀を発見。
しかし、全然動きません。
どうやら、置物のようです。
もうひとつ置物の亀がいると思ったら、こちらは本物です。
全然動かないから置物かと思いました。
以上が並河家住宅の拝観内容です。
庭園は狭く、見どころは多くありませんでした。
なので、庭園の拝観を主目的として訪れると物足りないかもしれませんね。
でも、並河靖之の作品は、拝観する価値が十分あります。
並河家住宅に訪れるなら、展示品の拝観を主目的とした方が良いでしょう。