京都市伏見区にある日野には、法界寺と日野誕生院というお寺が建っています。
どちらのお寺も浄土真宗の祖である親鸞と縁があることで知られています。
日野家の菩提寺として発展した法界寺
法界寺は、永承6年(1051年)に日野資業(ひのすけなり)が、日野家の山荘に薬師堂を建立し、寺に改めたのが始まりです。
資業は、薬師堂に最澄作と伝えられている薬師像を祀り、以来、法界寺は日野家の菩提寺として発展します。
なお、資業が祀った薬師像は、現在の本尊の薬師如来像の胎内におさめられているそうです。
資業が法界寺を創建してから約120年が過ぎた承安3年(1173年)、当地で日野有範(ひのありのり)の子として親鸞が誕生しました。
親鸞は、9歳の時に青蓮院(しょうれんいん)の慈円のもとで出家しました。
その後、比叡山で修行しましたが、当時の延暦寺の僧たちの堕落に失望して山を降り、京都の六角堂で百日参籠を始めます。
百日参籠を始めて95日目。
親鸞は、夢の中で聖徳太子の化身である如意輪観音に法然のもとに行くように告げられます。
そして、親鸞は法然のもとで修行をし、後に浄土真宗を開いたのです。
親鸞の産湯跡
現在、浄土真宗のお寺は全国にたくさんあり、京都にも西本願寺や東本願寺といった有名なお寺がありますね。
もちろん、親鸞が誕生した日野にも本願寺の飛地境内があります。
そこに建っているのが、日野誕生院です。
日野誕生院は、本願寺第19代宗主の本如が、文化年間(1804-1818年)に日野家の由緒地を調査し、その地に親鸞の父の名にちなんだ有範堂を建立したのが始まりです。
日野誕生院の近くには、親鸞がこの地で誕生したことを示す石碑など、日野が親鸞と関係があることを示す史跡が多くあります。
下の写真に写っている建物は、親鸞が誕生した時に使用した産湯の跡です。
この産湯の跡は、保育園の敷地内に建っています。
近くでじっくりと観たかったのですが、あまり保育園の周りをうろうろとしていると変質者と間違われてしまうので、建物だけを撮影して帰ることにしました。
家の宗派が浄土真宗という方は、一度、日野を訪ねてみてはいかがでしょうか。
また、日野は、鴨長明が隠棲した地としても知られています。これについては、以下の過去記事で紹介していますので、ご覧になってください。
なお、法界寺と日野誕生院については以下のページを参考にしてみてください。