1月26日の京都新聞で、2009年の京都市内のホテルの客室稼働率が過去最大の下落となったと報じられました。
予想していた通りの結果なのですが、観光を大きな収入源としている京都市にとってはかなりの痛手となっているようです。
2003年以来の客室稼働率80%割れ
詳しい内容は京都新聞の該当記事(古い記事なので現在は読めません)を読んでいただけばわかりますが、客室稼働率低下の原因を要約すると以下のとおりとなります。
- 2008年のリーマンショック後の金融不安の影響
- 新型インフルエンザの流行で観光客の宿泊が大幅に減少
- 円高の影響による外国人観光客の宿泊減
上記の理由から2009年の京都市のホテルの客室稼働率は78.4%となり、SARS(新型肺炎)が流行した2003年以来の80%割れとなったようです。
リーマンショックの影響は2009年全体の客室稼働率を低下させたようですが、新型インフルエンザは特に5月と6月に影響を与え、急激な円高は秋以降の客室稼働率に影響を与えたようですね。
観光庁のデータをもとに2009年の稼働率を分析
上で紹介した内容は、京都新聞に掲載されていた記事を要約したものですが、もう少し詳しくホテルの稼働率の下落を知りたかったので、観光庁が公表しているデータを分析してみました。
なお、以下の分析の基礎となる数値は、観光庁のホームページの宿泊旅行統計 | 統計情報 | 情報・資料 | 観光庁のページにある2008年と2009年のエクセルデータを使わせていただきました。
使用している数値は、京都府の10人以上宿泊できる宿の宿泊者数を基準とした定員稼働率です。
したがって、京都新聞に掲載されている京都市の客室稼働率とは異なります。
第一四半期(1月から3月)の定員稼働率
2008年と2009年の第一四半期の定員稼働率(京都府、大阪府、東京都、全国)をグラフにしてみました。
グラフ上では下落率を表示していませんが、全国平均が6.5%です。
そして、京都が5.6%、大阪が5.3%、東京が6.3%となっています。
いずれも08年9月のリーマンショックによる定員稼働率の低下と考えられます。それでも上に示した3都府は、全国平均よりも下落率が低いので善戦していると言っていいでしょう。
第二四半期(4月から6月)の定員稼働率
第二四半期に入ると下落率が一変します。京都と大阪の定員稼働率が08年に比べて09年は大幅に低下していますね。
※上のグラフだけ立体に作ってしまいましたが、意味はないので気にしないでください。
京都と大阪の定員稼働率の低下は、春に流行し始めた新型インフルエンザの影響だとわかりますね。
東京の下落率は9.0%で全国平均の8.6%とあまり差がありません。
第三四半期(7月から9月)の定員稼働率
第三四半期に入ると新型インフルエンザも一旦は騒がれなくなったことから、定員稼働率は安定しています。
それでも、リーマンショックの影響は続いており、全国平均で3.0%の下落率となっています。
東京と大阪のホテルは、出張で利用するビジネスマンの方が多いからか、不景気の影響を受けやすく全国平均を上回る下落率となっていますね。東京が5.3%で大阪が4.3%です。
第三四半期で不思議なのが、京都の定員稼働率が前年同期と比較して上がっていることです。
第二四半期に新型インフルエンザのせいで、京都に旅行で訪れることができなかった方が、この時期にずらして旅行されたのでしょうか。
それとも、夏は暑いというイメージが定着している京都ですが、09年は冷夏で過ごしやすかったため例年よりも京都旅行をされる方が多かったという理由で、定員稼働率が上がったのでしょうか。
どちらも何の根拠もない私の独り言ですので、無視してください。
続いて第四四半期の分析といきたいところですが、この記事を書いている時点では、09年のデータが公表されていないため、パスします。
第二四半期を月別にさらに分析
では、次に京都と大阪の下落率が激しかった第二四半期を月別に見ていきたいと思います。
4月の定員稼働率
最初に新型インフルエンザの感染者が発生したのが4月でした。
感染者がわかった場所は大阪だったのですが、4月の大阪の定員稼働率の下落率は全国平均とほとんど同じです。この頃は、まだ大きな騒ぎになっていなかったから、下落率には現れていないのでしょう。
しかし、4月の下落率は全国平均で8.8%となっているので、第一四半期よりも景気が悪化していることが伺えます。
5月の定員稼働率
5月に入ると新型インフルエンザの影響が顕著に現れます。
大阪での感染拡大はゴールデンウィークでしたが、京都では5月中旬のちょうど葵祭が催された頃でした。
私もこの頃から京都に行く時には、マスクを付けるようになりましたね。
京都も大阪も下落率が20%に達しています。さすがに前年比で20%も宿泊者数が減るとホテルも旅館も大幅に業績が悪化してしまいます。
6月の定員稼働率
6月に入ると事態はさらに悪化。
例年、京都の6月の定員稼働率は、5月と比較すると15%ほど低くなります。
しかし、京都の定員稼働率の下落率は、風評被害の影響もあって、30%にせまる勢いです。
大阪の下落率が22.1%であったことを考えると京都は風評被害の影響も大きかったと言えますね。
6月の定員稼働率の全国平均が37.3%、京都のそれが40.0%と何とか全国平均以上を保っています。しかし、前年は京都の定員稼働率が全国平均の1.36倍あったのに対して、09年は1.07倍となっているので、相当な落ち込みと言えるでしょう。
2010年はどうなるのか?
2009年は、京都のホテルや旅館は散々な結果だったのですが、2010年はどうなるのでしょうか。
京都新聞の記事によれば、1月は料金の高い部屋が苦戦、2月と3月の予約状況も芳しくないとか。
しかし、今年のNHKの大河ドラマが龍馬伝であることを考えると、京都に旅行される方は増えるのではないでしょうか?
伏見区の寺田屋は坂本竜馬が頻繁に利用していた宿です。
また、中京区の河原町には坂本竜馬が亡くなった近江屋跡もあります。
きっと、夏以降は龍馬伝の中で、頻繁に伏見区や中京区を坂本竜馬が訪れるでしょうから、観光客の方も09年よりは増えるはずです。
2010年は、京都の宿泊施設が巻き返す年になりそうですね。